こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
なんだか背中がゾクゾクする。のどがイガイガしてきた。くしゃみや鼻水が出始めた。そんな「あれ、風邪かな?」と感じたとき、どうしていますか?
我が家でも、子どもが保育園から風邪をもらってくることがよくあります。
「風邪のひき始めは、とにかく体を温めればいい」と思われがちですが、東洋医学では、ひき始めのタイプによって対処の仕方が変わると考えます。今回は、風邪のひき始めにできることを、東洋医学のタイプ分けと、私自身がしているケアを交えてお話します。
風邪はなぜひくの?
風邪の大半はウイルスが原因
いわゆる風邪は、鼻やのどに炎症が起こる病気の総称です。その原因の大半はウイルスと言われており、原因となるウイルスの種類はとても多くあります。
多くの場合は、体の免疫の働きによって、数日から1週間ほどで自然に良くなっていくとされています。
抗生物質は風邪のウイルスには効かない
「病院で抗生物質をもらえば早く治る」と思われがちですが、抗生物質は細菌に働く薬で、風邪の原因となるウイルスには効きません。必要のない抗生物質を飲むと、薬の効かない菌(耐性菌)を増やすおそれもあると言われています。抗生物質が必要かどうかは、医師が判断します。
市販の風邪薬は、熱やのどの痛みなどの症状を和らげるためのものです。漢方薬を含め、症状や体質によって合う薬は変わるため、購入するときは薬剤師に相談してください。
ひき始めの基本は「休む・水分・温かく」
風邪のひき始めに大切なのは、早めに体を休めることです。しっかり眠り、こまめに水分をとり、体を冷やさないようにすることが基本になります。
東洋医学から見た風邪のひき始め
外から入ってくる「風邪(ふうじゃ)」
東洋医学では、体の外から入って不調を起こすものを「邪(じゃ)」と呼びます。その代表が、風に乗って入ってくるとされる「風邪(ふうじゃ)」です。私たちが「かぜ」と呼ぶ言葉は、ここから来ているとも言われています。
体を守るバリア「衛気(えき)」
東洋医学では、体の表面には「衛気(えき)」という気が巡っていて、外から入ってくる邪を防ぐバリアの役割をしていると考えられています。疲れや寝不足、冷えが続いて衛気が弱ると、風邪が入りやすくなるというわけです。
衛気については、こちらの記事でもお話しています。
風は首の後ろから入る
東洋医学では、風邪は首の後ろや背中の上のほうから入りやすいと考えられています。このあたりには、「風門(ふうもん)=風が入る門」や「風池(ふうち)=風がたまる池」など、「風」の字がつくツボが集まっています。昔の人も、首の後ろの冷えが風邪の入り口になると考えていたことがわかります。
「とにかく温める」が正解とは限らない — ひき始めの2つのタイプ
東洋医学では、風邪のひき始めを、大きく次の2つのタイプに分けて考えます。
ゾクゾク型(風寒〈ふうかん〉)— 温めて追い出す
- 寒気が強く、背中がゾクゾクする
- 首筋や肩がこわばる
- 透明でさらさらした鼻水が出る
- 汗はまだ出ていない
- のどの痛みは軽い
冷えを伴う風邪で、体を温めて、軽く汗をかくことで追い出すのが良いとされています。
のどイガイガ型(風熱〈ふうねつ〉)— 温めすぎない
- のどの痛みや腫れが強い
- 熱っぽさが強く、寒気は軽い
- 黄色っぽい鼻水や痰が出る
- 口が渇く
熱を伴う風邪で、厚着をしたり体を温めすぎたりすると、かえってつらくなることがあると考えられています。
迷ったときは「寒気」を目安に
「寒気が強いか、のどの痛みと熱っぽさが強いか」が、見分けるときの目安になります。ただし、時間とともにタイプが変わることもあります。体の声を聞きながら、心地よいと感じるケアを選んでください。
鍼灸師の私がしている、ひき始めのケア
大椎を温める
私自身は、風邪のひき始めには、大椎(だいつい)を温めるようにしています。大椎は、首を前に倒したときに出っ張る骨のすぐ下にあるツボです。
大椎の詳しい場所や、ドライヤーやシャワーを使った温め方は、こちらの記事でお話しています。
合谷にお灸
もう一つ、合谷(ごうこく)にお灸をすることもあります。合谷は、手の甲側の、親指と人差し指の骨が交わるくぼみから、少し人差し指側に寄ったところにあるツボです。顔や鼻、のどなど首から上の症状によく用いられ、体を守る力を高めるとも言われています。
なお、合谷は、妊娠中は刺激を避けたほうがよいとされているツボです。妊娠中の方は使わないでください。

これからの季節は、カイロで背中や腰を温める
これからの寒い時期は、患者さんにも、カイロなどを背中や腰に当てて温めることを意識していただいています。背中の上のほうには、先ほどの風門もあります。
カイロは低温やけどを防ぐため、肌に直接貼らず、寝るときは外してください。

タイプ別のセルフケア
どちらのタイプにも共通すること
- 無理をせず、早めに休む。しっかり眠る
- 白湯や温かいお茶などで、こまめに水分をとる
- おかゆやうどん、スープなど、消化の良いものを食べる
- 加湿器などで、部屋の湿度を50〜60%程度に保つ
ゾクゾク型のケア
- ネックウォーマーやマフラーで、首元を温める
- 大椎や風門のあたりを、ドライヤーの温風やカイロで温める(熱くなりすぎないよう注意)
- お風呂は短めにして、湯冷めしないようすぐに髪と体を乾かす
- しょうがを入れたスープなど、温かい汁物をとる
のどイガイガ型のケア
- 厚着をしすぎない
- マスクや加湿、こまめな水分で、のどを潤す
- 辛いものやアルコールなど、のどを刺激するものを控える
避けたいこと
- 無理をして仕事や運動を続ける
- 髪を濡らしたまま寝る(首や背中が冷えます)
- 以前にもらった抗生物質など、家にある薬を自己判断で飲む
家族にうつさない・もらわない
子どもは保育園から風邪をもらってくることが多いので、我が家では手洗いとうがいを徹底しています。
風邪は家族の中で広がりやすいと言われています。帰宅したらまず手を洗う、咳が出るときはマスクをするなど、家族みんなで気をつけることが大切です。
保育園で流行する病気への我が家の対策は、こちらの記事でもお話しています。
悪化した場合や心配な場合
風邪の多くは自然に良くなりますが、インフルエンザや肺炎など、ほかの病気のこともあります。
次のような場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 息苦しい、呼吸が速い、胸が痛い
- ぐったりしている、水分がとれない、意識がぼんやりする
- 激しい頭痛がある、首が硬くて前に曲げられない
次のような場合は、早めに受診してください。
- 38℃以上の熱が続く、急に高い熱が出た
- のどの痛みが強くて飲み込めない
- 咳が2〜3週間以上続いている
- 黄色や緑色の鼻水が続き、頬やおでこが痛む
- 市販薬を数日使っても良くならない、いったん良くなったのにまた悪化した
- 高齢の方、小さなお子さん、妊娠中の方、持病がある方
長引く咳については、こちらの記事でお話しています。
まとめ
風邪のひき始めは、早めに休み、水分をとることが基本です。東洋医学では、寒気が強いゾクゾク型は温めて追い出し、のどの痛みと熱っぽさが強いのどイガイガ型は温めすぎない、というように、タイプによってケアを変えると考えます。
私自身は、ひき始めに大椎を温めたり、合谷にお灸をしたりしています。これからの季節は、首元や背中を冷やさないことを意識してみてください。ただし、体質や症状には個人差があります。つらい症状が続く場合は、我慢せず医療機関を受診してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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