こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
朝起きたら手がしびれている。指先がジンジン、ピリピリする。物を持つと違和感がある。そんな手のしびれに悩んでいませんか?
私のところにも、妊婦の方や、お仕事をされている方など、さまざまな方が手のしびれで来院されます。
手のしびれは、「どの指がしびれるか」によって、関わっている神経や原因が変わってきます。今回は、しびれる指から考える原因と、見逃してはいけない危険なしびれ、そして鍼灸院での施術とセルフケアについてお話します。
まず確認してほしい、危険なしびれ
手のしびれの多くは、首や腕、手首で神経が圧迫されることによるものですが、中には脳の病気が原因のものもあります。
次のような場合は、すぐに救急を受診し、必要であれば救急車を呼んでください。
- 突然、片側の手や足、顔がしびれた
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 手足に力が入らない、顔がゆがんでいる
- 激しい頭痛がある
しびれが数分で消えた場合でも、脳の血管が一時的に詰まった前ぶれのことがあります。様子を見ずに、早めに医療機関を受診してください。
また、次のような場合は、首の中で神経の束(脊髄〈せきずい〉)が圧迫されている可能性があります。早めに整形外科を受診してください。
- 両手がしびれる
- 箸が使いにくい、ボタンがかけにくい、字が書きにくい
- 歩くとふらつく、足がもつれる

手のしびれに関わる3つの神経
神経は首から指先までつながっている
手の感覚を伝える神経は、首の骨(頚椎〈けいつい〉)から出て、鎖骨のあたり、わきの下、腕、肘、手首を通って、指先まで伸びています。この通り道のどこかで神経が圧迫されると、その先にしびれが出ます。
私が指のしびれを見るときに、判断の手がかりにしているのが、手に向かう3つの神経です。

正中神経 — 親指から中指のしびれ
正中神経(せいちゅうしんけい)は、手のひら側の親指から中指、そして薬指の親指側半分の感覚を担っています。
この神経は、手首にある「手根管(しゅこんかん)」というトンネルを通っており、ここで圧迫されて起こるのが手根管症候群です。小指はしびれないこと、夜中や明け方にしびれが強くなること、手を振ると少し楽になることが特徴と言われています。
手をよく使う方のほか、妊娠中や産後、更年期の女性に多いとされています。妊娠中は体に水分がたまりやすく、手首の中がむくんで神経が圧迫されやすいと考えられています。
尺骨神経 — 小指と薬指のしびれ
尺骨神経(しゃっこつしんけい)は、小指と、薬指の小指側半分の感覚を担っています。
この神経は肘の内側を通っています。肘をぶつけたときに、小指までビリッと響くことがありますが、あれが尺骨神経です。肘の内側で圧迫されて起こるものは、肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)と呼ばれます。肘を長時間曲げたままにする、頬杖や肘をつく姿勢が続くと、悪化しやすいと言われています。
橈骨神経 — 手の甲の親指側のしびれ
橈骨神経(とうこつしんけい)は、手の甲側の、親指から人差し指のあたりの感覚を担っています。
腕の外側を通っているため、腕を下にして寝てしまったあとや、腕や手首の親指側が圧迫されたときに、しびれが出ることがあります。
首や鎖骨のまわりが原因のことも
これらの神経の大もとである首や、鎖骨のまわりで神経が圧迫されても、腕や手にしびれが出ます。首や肩甲骨のあたりの痛みを伴う、首を後ろに反らすとしびれが強くなる、腕を上げているとしびれやだるさが出る、といった場合は、首や肩まわりが関わっているかもしれません。
首の姿勢については、こちらの記事でお話しています。
なお、両手の指先が左右同じようにしびれる場合は、糖尿病など、全身の病気が関わっていることもあります。
ここまでの内容は、あくまで一般的な目安です。実際にはいくつかの原因が重なっていることもあるため、自己判断はせず、気になる場合は医療機関で確認してもらってください。
鍼灸院に来られる方の傾向
妊婦の方や、お仕事で手を使う方
手のしびれで来られる患者さんには、妊婦の方や、お仕事をされている方がいらっしゃいます。
ドケルバン病やテニス肘で、しびれが出ている方も
また、ドケルバン病やテニス肘の方で、しびれが出ているという方もいらっしゃいます。
- ドケルバン病 — 手首の親指側に起こる腱鞘炎(けんしょうえん)。親指を動かすと、手首の親指側が痛みます
- テニス肘 — 肘の外側に起こる炎症(上腕骨外側上顆炎〈じょうわんこつがいそくじょうかえん〉)。手首を反らす、物をつかむといった動作で痛みます
どちらも痛みが主な症状ですが、痛む場所は橈骨神経の通り道の近くでもあります。
腱鞘炎については、こちらの記事で私自身の経験をお話しています。
東洋医学的な視点から
しびれは「巡りの滞り」と「栄養の不足」
東洋医学では、しびれを大きく2つの状態から考えます。
- 巡りの滞り — 気(き)や血(けつ)の流れが滞り、その先に届かなくなっている状態
- 栄養の不足 — 気や血そのものが足りず、手の先まで十分に行き渡っていない状態
冷えると症状が強くなる方が多いのは、冷えが巡りを滞らせるためと考えられています。
しびれる指と経絡
東洋医学では、手には6本の経絡(けいらく)が通っているとされており、しびれる指から、関わっている経絡を考えます。
- 親指・人差し指側 — 手陽明大腸経(てようめいだいちょうけい)など
- 中指側 — 手厥陰心包経(てけついんしんぽうけい)
- 小指側 — 手少陰心経(てしょういんしんけい)、手太陽小腸経(てたいようしょうちょうけい)
経絡と神経は別のものですが、その通り道には重なる部分があります。たとえば、小指側を通る経絡は尺骨神経の、手首の内側の中央を通る心包経は正中神経の通り道と、近いところを走っています。
鍼灸院での施術
手三里・合谷への鍼通電
施術では、手三里(てさんり)や合谷(ごうこく)などのツボに、鍼に微弱な電気を流す鍼通電(パルス)を行っています。
- 手三里 — 肘を曲げたときにできるしわの親指側の端から、手首の方向へ指3本分下がったところ
- 合谷 — 手の甲側、親指と人差し指の骨が交わるくぼみから、少し人差し指側に寄ったところ
どちらも、腕の親指側を通る大腸経のツボです。

原因によっては肩まわりにも
しびれの原因によっては、腕や手だけでなく、肩まわりにも鍼をします。先ほどお話ししたように、手に向かう神経は首や肩を通っているためです。
整形外科との連携
痛みやしびれがきつい方には、整形外科に紹介状を送り、受診していただくようにしています。しびれの原因を調べるには、レントゲンやMRI、神経の検査などが必要になることがあるためです。
どこを受診すればいいか迷ったときは、こちらの記事も参考にしてください。

自宅でできるセルフケア
手首・肘に負担をかけない姿勢
- 手首を曲げたままにしない — スマートフォンを持つとき、パソコンを使うとき、寝るときに、手首が強く曲がった状態が続かないようにします
- 手の使いすぎを休める — 同じ作業が続くときは、こまめに休憩を入れます
- 頬杖や肘をつく姿勢を避ける
- 肘を長時間、深く曲げたままにしない
首・肩の姿勢を見直す
うつむいた姿勢が続くと、首や肩に負担がかかります。画面の高さを調整する、ときどき肩を回すなど、同じ姿勢を続けない工夫をしてみてください。
冷やさない、温める
手や腕を冷やさないようにし、湯船につかって体を温めましょう。
ツボを押す
- 手三里 — 先ほどご紹介した、肘の近くのツボです
- 内関(ないかん) — 手首の内側のしわから、指3本分ひじ側。2本のすじの間にあります。心包経のツボです
心地よい強さで5秒ほど押し、ゆっくり離します。これを3回ほど繰り返してください。押してしびれや痛みが強くなる場合は、すぐに中止してください。
なお、合谷は、妊娠中は刺激を避けたほうがよいとされているツボです。妊娠中の方は、ご自身で押さないようにしてください。

避けたいこと
- しびれている場所を強く揉む
- 首を強く反らす、勢いよく回す
- しびれを我慢して、長い間そのままにする
神経が長く圧迫され続けると、回復に時間がかかることがあると言われています。
何科を受診すればいい?
- すぐに救急へ — 冒頭でお伝えした危険なしびれ(突然の片側のしびれ、ろれつが回らない、力が入らないなど)
- 整形外科へ — しびれが数週間続く、だんだん強くなる、範囲が広がる。物をよく落とす、手に力が入りにくい。親指の付け根のふくらみがやせてきた。転倒や事故のあとからしびれる
- 内科へ — 両手両足の先が、左右同じようにしびれる
- 妊娠中の方 — まずは産婦人科で相談してください
まとめ
手のしびれは、どの指がしびれるかによって、関わっている神経が変わります。親指から中指は正中神経、小指と薬指は尺骨神経、手の甲の親指側は橈骨神経が、それぞれ目安になります。首や肩まわりが原因のこともあります。
まずは危険なしびれではないかを確認し、手首や肘、首に負担をかけない姿勢を心がけてみてください。しびれの原因や経過には個人差があります。しびれが続く場合や強い場合は、我慢せず整形外科を受診してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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