こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
シャンプーのときに、排水口にたまる髪の毛がなんだか増えた気がする。ブラッシングのたびに抜け毛が気になる。髪がパサついて、ツヤがなくなってきた。秋になると、そんな髪のお悩みが増えてきます。
「このまま薄くなってしまうのでは」と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは落ち着いてください。今回は、秋の抜け毛とパサつきの原因、そして髪を守り育てるケアを、東洋医学の視点も交えてお話します。
秋の抜け毛、どこまでが普通?
髪は毎日生え変わっている
髪の毛には、「成長期(伸びる時期)」「退行期(成長が止まる時期)」「休止期(抜け落ちるのを待つ時期)」という生え変わりのサイクルがあります。髪は1本ずつ別々のサイクルで生え変わっているため、毎日一定の本数が自然に抜けています。
1日50〜100本程度は正常の範囲
個人差はありますが、1日に50〜100本程度の抜け毛は、正常の範囲と言われています。数字で見ると多く感じますが、髪の毛は全体で約10万本あるとされており、その一部が毎日入れ替わっているのです。
秋に抜け毛が増えやすい理由
秋に抜け毛が増えやすい理由は、はっきりとは解明されていませんが、次のようなことが関わると考えられています。
- 夏の強い紫外線による、頭皮や髪へのダメージ
- 夏の疲れや食欲の低下による栄養不足、睡眠不足
- 季節に合わせて毛が生え変わる仕組みの名残り
秋の抜け毛は、多くの場合は一時的なもので、自然に落ち着いていくと言われています。
また、強いストレスや高熱、出産、急なダイエットなどがあると、その2〜3か月後に抜け毛がまとまって増えることがあります。産後の抜け毛も、その一つとされています。
髪がパサつくのはなぜ?
髪はタンパク質でできている
髪の毛の主な成分は、ケラチンというタンパク質です。髪は頭皮の中にある毛根で作られ、少しずつ押し出されるようにして伸びていきます。
髪の表面を守るキューティクル
髪の表面は、キューティクルと呼ばれる、うろこ状の薄い膜で覆われています。キューティクルが整っていると、髪の内部の水分が保たれ、ツヤが出ます。
ところが、紫外線、ドライヤーやヘアアイロンの熱、濡れたままの摩擦、空気の乾燥などでキューティクルが傷むと、内部の水分が逃げてしまい、髪がパサついて見えるようになります。
傷んだ髪そのものは、元に戻らない
ここで知っておいていただきたいのは、頭皮から外に出ている髪は、爪と同じように、すでに生きた細胞ではないということです。そのため、一度傷んだ髪が、肌のように自分で修復されることはありません。
だからこそ、髪のケアは次の2つに分けて考えることが大切です。
- 内側からのケア — これから生えてくる髪を、健やかに育てる
- 外側からのケア — 今ある髪を、これ以上傷めない
東洋医学的な視点から
「髪は血余」— 髪は血の余りからできる
東洋医学には、「髪は血余(けつよ)」という言葉があります。髪は、体を養った血(けつ)の余りから作られる、という考え方です。
血が十分にあれば髪にはツヤが出て、血が不足した状態(血虚〈けっきょ〉)になると、髪がパサつく、細くなる、抜けやすくなると考えられています。

「腎の華は髪にある」
もう一つ、「腎(じん)の華は髪にある」という言葉もあります。成長や老化と深く関わる腎の状態は、髪に表れるという意味です。年齢を重ねたり、疲れがたまったりして腎の力が弱ると、髪の元気もなくなると考えられています。
秋は「肺」の季節。乾燥は髪にも影響する
東洋医学では、秋は五臓(ごぞう)の「肺(はい)」の季節とされ、「肺は皮毛(ひもう)を主る」と言われます。肺は、皮膚だけでなく体の毛とも関わっていると考えられており、秋の乾燥は、肌だけでなく髪にも影響するとされています。
秋の乾燥と肌については、こちらの記事でお話しています。
内側からのケア — これから生える髪を育てる
髪の材料をしっかりとる
- タンパク質 — 髪の主成分。肉、魚、卵、大豆製品を毎食とり入れましょう
- 鉄 — 血液が酸素を運ぶために必要です。赤身の肉や魚、小松菜、ほうれん草など
- 亜鉛 — タンパク質から髪を作るときに必要とされます。牡蠣、赤身の肉、ナッツ類など
東洋医学では、黒ごまや黒豆、ひじきなどの黒い食材が、腎や血を補うと言われています。
食事を極端に減らすダイエットは、髪に届く栄養を不足させ、抜け毛の原因になることがあります。タンパク質と鉄については、こちらの記事でお話しています。


「わかめを食べれば髪が増える」は本当?
「髪には海藻が良い」とよく言われます。海藻にはミネラルが含まれており、体に良い食材ではありますが、わかめや昆布だけを食べて髪が増えるという、はっきりした根拠はないとされています。
髪の材料はあくまでタンパク質です。特定の食材に頼るのではなく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

睡眠、ストレス、冷え
髪の成長に関わるホルモンは、眠っている間に多く分泌されると言われています。また、ストレスや体の冷えは、頭皮の血の巡りを悪くすると考えられています。しっかり眠り、湯船につかって体を温めることも、髪のためのケアになります。
外側からのケア — 今ある髪を傷めない
洗い方
- 爪を立てず、指の腹で頭皮をやさしく洗う
- シャンプーやトリートメントが残らないよう、しっかりすすぐ
- お湯は熱すぎない温度にする(熱いお湯は、頭皮に必要な皮脂まで落としてしまいます)
乾かし方
- 濡れたまま寝ない — 濡れた髪はキューティクルが開いていて、摩擦にとても弱い状態です
- タオルでゴシゴシこすらず、押さえるようにして水分を取る
- ドライヤーは髪から離し、同じ場所に当て続けない
紫外線と乾燥から守る
日差しの強い日は、帽子や日傘を使いましょう。秋冬は空気が乾燥するため、部屋の加湿も、髪と頭皮を守ることにつながります。
頭皮の巡りを促すツボとマッサージ
頭や髪の不調によく用いられるツボ
- 百会(ひゃくえ) — 左右の耳の一番高いところを結んだ線と、顔の中心線が交わる、頭のてっぺん
- 風池(ふうち) — 首の後ろの髪の生え際で、耳の後ろの骨と首の太い筋肉の間にあるくぼみ
- 三陰交(さんいんこう) — 内くるぶしの一番高いところから指4本分上、すねの骨の内側のきわ。血を補うとされるツボです
心地よい強さで5秒ほど押し、ゆっくり離します。これを3回ほど繰り返してください。なお、三陰交は妊娠中は刺激を避けたほうがよいとされているため、妊娠中の方は押さないでください。
風池の位置↓

百会の位置↓

頭皮マッサージのやり方
両手の指の腹を頭皮に当て、頭皮そのものを動かすように、ゆっくり円を描きます。耳の上、後頭部、頭のてっぺんと、場所を変えながら行いましょう。爪を立てたり、髪をこすったりしないのがポイントです。首や肩のこりをほぐすことも、頭への巡りを良くする助けになります。
ツボや鍼灸でできること・できないこと
ツボ押しや頭皮マッサージ、鍼灸は、頭皮や全身の巡りを促し、睡眠やストレスなど体の調子を整えることを目的としたものです。
一方で、男性型・女性型の脱毛症のように進行していくタイプの脱毛を、ツボや鍼灸で止めることはできません。次の章のような症状がある場合は、まず医療機関を受診してください。
悪化した場合や心配な場合
次のような場合は、季節による一時的な抜け毛ではない可能性があります。まずは皮膚科を受診してください。
- 10円玉くらいの大きさで、円形に髪が抜けている
- 抜け毛が急に、大量に増えた
- 抜け毛の多い状態が3か月以上続いている
- 生え際や頭のてっぺん、分け目が、目立って薄くなってきた
- 頭皮に強いかゆみ、赤み、フケ、痛み、湿疹がある
また、次のような場合は、体の病気が関わっていることもあります。内科などで相談してください。
- 抜け毛とともに、強いだるさ、体重の変化、むくみ、寒がり、動悸などがある(甲状腺の病気などの可能性)
- 立ちくらみや息切れがある、顔色が悪い(貧血の可能性)
- 新しい薬を飲み始めてから抜け毛が増えた(処方した医師に相談してください)

まとめ
1日に50〜100本程度の抜け毛は正常の範囲とされ、秋の抜け毛は一時的なことが多いと言われています。まずはあわてずに、様子を見てみてください。
髪のケアは、食事や睡眠で「これから生える髪を育てる」ことと、洗い方や乾かし方で「今ある髪を傷めない」ことの2つが基本です。東洋医学では、髪は血や腎、肺と関わると考えられており、体の内側を整えることが髪の元気にもつながります。
髪の状態には個人差があります。抜け毛が長く続く場合や、気になる症状がある場合は、早めに皮膚科で相談してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
X(旧Twitter)もやっているのでフォローよろしくお願いします。
X(旧Twitter)アカウント→@shinbitokenn


コメント