こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
立ち仕事で、夕方になると足がパンパンにむくむ。家に帰っても足が重だるくて、夜もなかなか寝つけない。そんなお悩みはありませんか?
レジや接客、調理、美容師、介護、工場のライン作業など、立ったまま働く方にとって、足のだるさは毎日のことかもしれません。
むくみが起こる仕組みについては、以前こちらの記事でお話しました。

今回は「立ち仕事」に絞って、足がだるくなる理由と、仕事中にできる対策、そして見逃したくない病気のサインについてお話します。
立ち仕事で足がだるくなる理由
足の血液を心臓に戻す「ふくらはぎのポンプ」
心臓から送り出された血液は、全身をめぐって、静脈を通って心臓へ戻っていきます。ところが足は心臓から一番遠く、しかも重力に逆らって血液を押し上げなければなりません。
そこで大きな役割を果たしているのが、ふくらはぎの筋肉です。歩いたり足首を動かしたりしてふくらはぎの筋肉が縮むと、その中を通る静脈が押されて、血液が上へと送り出されます。ふくらはぎが「第2の心臓」と呼ばれるのは、このポンプのような働きがあるためです。
また、静脈の中には、血液が下へ逆流しないようにする「弁(べん)」がついています。
もう一つの「足裏のポンプ」
実は、足の血液を戻すポンプは、ふくらはぎだけではありません。
足の裏には静脈が集まっていて、歩くたびに体重で押されることで、血液を心臓の方へ送り出す「足裏のポンプ」の働きがあるとされています。病院では、手術後などで動けない方の血栓を防ぐために、足の裏を機械で圧迫する「フットポンプ」という医療機器が使われているほどです。
この足裏のポンプは、足のアーチ(土踏まずなど)がしっかり働いていることも大切です。アーチが崩れるとポンプの働きが落ち、ふくらはぎのむくみや疲れにつながると考えられています。足のアーチについては、こちらの記事でお話しています。
「歩く」より「じっと立つ」ほうがつらい理由
歩いているときは、一歩ごとにふくらはぎの筋肉が動き、足の裏も地面に押されるため、2つのポンプが自然と働きます。
ところが、同じ場所でじっと立ち続けていると、ふくらはぎの筋肉はほとんど動かず、足の裏にも同じ圧がかかり続けるだけです。2つのポンプが働かないまま、重力で血液や水分が足にたまっていくため、歩き回る仕事よりも、立ちっぱなしの仕事のほうが足がだるくなりやすいと考えられています。

足のだるさは「下肢静脈瘤」のサインのことも
下肢静脈瘤とは
立ち仕事の方に知っておいていただきたいのが、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)という病気です。
足の静脈の中にある弁が壊れて、血液が逆流し、静脈にたまってしまう病気で、足の血管がこぶのようにボコボコと浮き出たり、細い血管がクモの巣や網目のように透けて見えたりします。
長時間の立ち仕事をしている方、女性、妊娠・出産を経験した方、年齢を重ねた方、家族に下肢静脈瘤の人がいる方に多いと言われています。
こんな症状があれば要注意
- ふくらはぎや太ももの血管が浮き出ている
- 足のだるさや重さ、むくみが続く
- 夜中や明け方に、こむら返り(足がつる)がよく起こる
- 足のかゆみや湿疹が続く
- すねや足首の皮膚が茶色っぽくなってきた
- 足の傷が治りにくい
下肢静脈瘤は、命に関わる病気ではないことが多いとされていますが、自然に治ることはないと言われています。足のだるさだけで静脈瘤とは言えませんが、気になる症状が続く場合は、一度相談してみてください。
足がつる原因については、こちらの記事でもお話しています。
相談先は血管外科
下肢静脈瘤は、血管外科や心臓血管外科で、超音波(エコー)検査によって調べることができます。病院によって診療科の名前が違うため、受診前に確認してみてください。
東洋医学的な視点から
2000年以上前から言われていた「久しく立てば骨を傷る」
東洋医学の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「五労所傷(ごろうしょしょう)」という考え方が記されています。同じことを長く続けすぎると、体の一部を傷めるという教えです。
- 久しく視(み)れば、血を傷る
- 久しく臥(ふ)せば、気を傷る
- 久しく坐(すわ)れば、肉を傷る
- 久しく立てば、骨を傷る
- 久しく行けば、筋(すじ)を傷る
ここで大切なのは、「立つこと」そのものが悪いのではなく、「久しく」、つまり長く続けすぎることが体を傷める、という点です。適度に立ったり歩いたりすることは、むしろ体を丈夫にしてくれます。
骨と腰をつかさどる「腎」
東洋医学では、骨は「腎(じん)」がつかさどると考えられており、「腰は腎の府」とも言われます。立ちっぱなしが続くと、足腰や腎に負担がかかり、足のだるさや腰の重さにつながると考えられています。
足のだるさによく用いられるツボ
- 承山(しょうざん) — ふくらはぎの真ん中あたり。つま先立ちをしたときに、ふくらはぎの筋肉のふくらみの下にできるくぼみ。足のだるさやこむら返りによく用いられます
- 湧泉(ゆうせん) — 足の裏で、足の指を曲げたときにできるくぼみ。腎の経絡の出発点とされるツボです
湧泉の位置↓

承山の位置↓

心地よい強さで5秒ほど押し、ゆっくり離します。これを3回ほど繰り返してください。足に血管の浮き出しや強い腫れ、痛みがある場合は、押さないでください。
仕事中にできる対策
その場でできる「2つのポンプ」を動かす運動
持ち場を離れられないときでも、その場でできる小さな動きで、2つのポンプを動かすことができます。
- かかとの上げ下げ — つま先立ちになって、ゆっくりかかとを下ろす。ふくらはぎのポンプが働きます
- その場で足踏み — 一歩ずつ、足の裏全体で床を踏むように。足裏のポンプが働きます
- 足の指のグーパー — 靴の中で、足の指を握ったり開いたりする
- 重心を移す — 片足ずつ、ゆっくり体重をかけ替える
1時間に一度など、時間を決めてこまめに行うのがおすすめです。
休憩時間にできること
- 座って、足首をゆっくり回す、上げ下げする
- 椅子や台に足をのせて、少し高くして休む
- トイレに行くついでなどに、少し歩く
着圧ソックスの上手な使い方
着圧ソックスは、足首から上に向かって段階的に締めつけることで、ふくらはぎのポンプの働きを助けるものです。立ち仕事の方は、仕事中に履くのがおすすめです。
- サイズの合ったものを選び、締めつけが強すぎるものは避ける
- 就寝用ではないものは、寝るときには脱ぐ
- 痛み、しびれ、皮膚の赤みやかゆみが出たら使用をやめる
- 持病がある方(血管の病気、糖尿病など)や、皮膚にトラブルがある方は、使う前に医師に相談する
医療用の弾性ストッキングは、医師の診断のもとで選ぶものです。下肢静脈瘤が気になる方は、医療機関で相談してください。
靴とインソールを見直す
かかとがしっかり安定し、クッション性があり、足に合った靴を選びましょう。インソールで足のアーチを支えることも、足裏のポンプを働かせる助けになります。
帰宅後のケア
- 足を高くして休む — 横になって、クッションなどで足を心臓より少し高くする
- 湯船につかる — 水圧と温かさで、足の巡りが促されます
- ふくらはぎをさする — 足首から膝に向かって、下から上へやさしくさする(強く揉まない)

悪化した場合や心配な場合
次のような場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 片方の足だけが急に腫れて、痛みや赤み、熱っぽさがある(血の塊〈血栓〉ができている可能性があります)
- 足の腫れとともに、息苦しさや胸の痛みがある(すぐに救急を受診してください)
次のような場合は、早めに相談してください。
- 血管外科・心臓血管外科へ — 足の血管が浮き出ている。だるさ、むくみ、夜のこむら返りが続く。足の皮膚が茶色っぽくなった、かゆみや湿疹が続く、傷が治りにくい
- 内科へ — 両足のむくみとともに、息切れ、体重の急な増加、尿の量の変化がある(心臓や腎臓の病気の可能性)
- 整形外科へ — 足のしびれや、腰からお尻、足にかけての痛みがある

まとめ
立ち仕事で足がだるくなるのは、足の血液を心臓へ戻す「ふくらはぎのポンプ」と「足裏のポンプ」が、じっと立っていると働きにくくなるためと考えられます。東洋医学でも、「久しく立てば骨を傷る」と言われてきました。
仕事中は、かかとの上げ下げや足踏みなどの小さな動きで、2つのポンプをこまめに動かしてみてください。そして、血管の浮き出しや皮膚の変化など、下肢静脈瘤のサインがある場合は、我慢せず血管外科に相談してください。症状や体の状態には個人差があります。
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