胃もたれは「食べすぎ」だけが原因ではない。季節の変わり目に増える胃の不調と、鍼灸師がすすめるケア

健康

こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。

食後に胃がずっしり重い。それほど食べていないのに、いつまでも胃に食べ物が残っている感じがする。そんな胃もたれに悩んでいませんか?

胃の不調を訴える方の年代はさまざまですが、臨床では特に、季節の変わり目や夏バテのときなどに、胃の調子を崩される方が多いと感じます。

「胃もたれ=食べすぎ」と思われがちですが、実は原因はそれだけではありません。今回は、胃もたれが起こる仕組みと、食べ方の工夫、そして鍼灸院で行っているケアについてお話します。

胃もたれはなぜ起こる?

胃の3つの働き

胃には、大きく分けて次の3つの働きがあります。

  • 食べたものを一時的にためる
  • 胃酸と混ぜて、ドロドロの状態にする
  • 少しずつ、十二指腸へ送り出す

胃の動きが落ちると、もたれる

この「混ぜる」「送り出す」という胃の動きが落ちると、食べたものが胃の中に長くとどまります。これが、胃が重い、ムカムカするといった胃もたれの正体と考えられています。

胃もたれの主な原因

  • 食べすぎ・飲みすぎ、脂っこい食事 — 脂質は消化に時間がかかるため、胃にとどまる時間が長くなります
  • 早食い、寝る前の食事 — よく噛まずに飲み込んだり、胃が休む時間に食べたりすると、胃に負担がかかります
  • 年齢による変化 — 年齢とともに胃の動きがゆるやかになり、以前は平気だった量や脂っこいものがつらくなることがあります
  • ストレス、疲れ、睡眠不足 — 次の章で詳しくお話します

胃もたれは「食べすぎ」だけが原因ではない

胃の動きを調整しているのは自律神経

胃の動きや胃酸の分泌は、自律神経(じりつしんけい)によって調整されています。リラックスしているときに働く副交感神経(ふくこうかんしんけい)が優位になると、胃は活発に動きます。

反対に、ストレスや疲れ、睡眠不足で自律神経のバランスが乱れると、胃の動きが落ちてしまいます。そのため、いつもと同じ量しか食べていなくても、胃がもたれることがあるのです。

季節の変わり目や夏バテで胃の不調が増える理由

季節の変わり目は気温差が大きく、体温を保つために自律神経が働き続けて疲れやすい時期です。また、夏の間に冷たい飲み物や食べ物をとり続けると、胃腸に負担がかかります。

季節の変わり目や夏バテのときに胃の不調を訴える方が多いのは、こうした自律神経の疲れや、胃腸への負担が重なるためと考えられます。

気温差による不調については、こちらの記事でお話しています。

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検査で異常がなくても、不調は起こる

胃カメラなどの検査をしても特に異常が見つからないのに、胃もたれやみぞおちの痛みが続くことがあります。これは「機能性ディスペプシア」と呼ばれ、胃の動きの低下や、胃が刺激に敏感になっていること、ストレスなどが関わると考えられています。

「検査で異常がないのだから、気のせいだ」と我慢する必要はありません。不調が続く場合は、消化器内科で相談してみてください。

東洋医学的な視点から

胃の気は「下に降りる」のが正常

東洋医学では、胃は食べたものを受け入れて消化し、下へと送り出す働きを担うと考えられています。胃の気(き)は、上から下へ降りていくのが正常な流れです。

食べすぎなどでこの流れが滞り、食べたものが胃にとどまった状態を「食滞(しょくたい)」と呼びます。また、胃の気が下に降りずに上へ上がってしまうと、げっぷや吐き気、胸やけとして表れると考えられています。

考えすぎや冷たいものは、胃腸を弱らせる

東洋医学には、「思い悩むと脾(ひ)を傷める」という考え方があります。脾は胃とともに消化吸収を担うとされており、考えごとや心配ごとが続くと胃腸の働きが落ちる、という意味です。ストレスで胃の調子が悪くなる経験は、多くの方に覚えがあるのではないでしょうか。

また、冷たい飲み物や食べ物は胃腸を冷やし、働きを弱めると考えられています。

胃腸の不調を体質のタイプ別に見た解説は、こちらの記事でお話しています。

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鍼灸院で行っているケア

足三里・三陰交への鍼とお灸

私の場合、胃もたれだけを目的として施術をすることはありませんが、胃の不調がある方には、足三里(あしさんり)や三陰交(さんいんこう)に、お灸や鍼をすることが多いです。

  • 足三里 — 膝のお皿の外側の下にあるくぼみから、指4本分下。すねの骨の外側にあります。胃の経絡(けいらく)の上にある代表的なツボで、昔から「お腹の不調には足三里」と言われてきました
  • 三陰交 — 内くるぶしの一番高いところから指4本分上、すねの骨の内側のきわ。消化吸収を担う「脾」の経絡のツボです

足三里の位置↓

三陰交の位置↓

お腹まわりを温める箱灸

お腹まわりには、箱灸(はこきゅう)をすることが多いです。箱灸とは、木の箱の中でもぐさを燃やし、広い範囲をじんわりと温めるお灸です。お腹を温めることで、胃腸のまわりの巡りを促すことを目的としています。

自宅でできるセルフケア

控えたいもの

胃の不調がある方には、脂っこいものや刺激物、お酒などを控えるようアドバイスしています。

  • 脂っこいもの — 揚げ物、脂身の多い肉、生クリームなど
  • 刺激物 — 香辛料の強いもの、濃いコーヒーなど
  • お酒

食べ方を見直す

何を食べるかと同じくらい、どう食べるかも大切です。

  • よく噛んで、ゆっくり食べる — 口の中で細かくしておくと、胃の負担が減ります
  • 腹八分目にする
  • 寝る2〜3時間前までに食事を済ませる
  • 食後すぐに横にならない — 胃酸が食道に逆流しやすくなります

胃がもたれているときの食事

胃がもたれているときは、無理に食べず、胃を休ませることも大切です。食べるときは、おかゆ、うどん、豆腐、白身魚、よく煮た野菜など、消化の良いものを選びましょう。

お腹を温める、冷たい飲み物を控える

腹巻きやカイロでお腹を温めるのもおすすめです。カイロは低温やけどを防ぐため、肌に直接貼らないでください。飲み物は、冷たいものを避け、白湯(さゆ)や温かいお茶、汁物を選びましょう。

飲み物の温度については、こちらの記事でお話しています。

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胃の不調によく用いられるツボ

  • 足三里 — 先ほどご紹介した、すねの外側のツボです
  • 内関(ないかん) — 手首の内側のしわから、指3本分ひじ側。2本のすじの間にあります。ムカムカや吐き気があるときによく用いられるツボです

心地よい強さで、息を吐きながら5秒ほど押し、ゆっくり離します。これを3回ほど繰り返してください。お腹を直接押すのは、食後すぐや満腹のときは避けましょう。

悪化した場合や心配な場合

胃の不調の背景に、病気が隠れていることもあります。

次のような場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 黒い便が出る、血を吐いた
  • みぞおちに強い痛みがある、冷や汗が出る
  • 胸の痛みや締めつけられる感じ、息苦しさを伴う(心臓の病気でも、胃の不調のように感じることがあります)

また、次のような場合は、早めに消化器内科で相談してください。

  • 胃もたれや胃の不調が2週間以上続く、何度も繰り返す
  • 体重が減ってきた、食べ物がつかえる感じがする
  • 吐き気や嘔吐が続く
  • 貧血を指摘された
  • 市販の胃薬を飲んでも良くならない、手放せない

まとめ

胃もたれは、胃の動きが落ちて、食べたものが胃に長くとどまることで起こると考えられています。原因は食べすぎだけではなく、ストレスや疲れ、季節の変わり目の自律神経の乱れでも起こります。

脂っこいものや刺激物、お酒を控え、よく噛んでゆっくり食べる、お腹を温めるといった工夫で、胃をいたわってあげてください。ただし、体質や原因には個人差があります。不調が続く場合は我慢せず、消化器内科を受診してください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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