ほうれい線は「しわ」ではなく「たるみの影」。こすらないケアと東洋医学で考える口元のハリ

美容

こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。

鏡を見たとき、小鼻の横から口元にかけての線が気になる。写真に写った自分が、なんだか疲れて見える。ほうれい線を何とかしようと、毎晩マッサージをしている。そんな方も多いのではないでしょうか。

今回は、ほうれい線ができる仕組みと、ついやってしまいがちな逆効果のケア、そして自宅でできるやさしいケアについて、東洋医学の視点も交えてお話します。

ほうれい線は「しわ」ではなく「たるみの影」

ほうれい線は、誰にでもある境目

ほうれい線は、医学的には「鼻唇溝(びしんこう)」と呼ばれ、小鼻の横から口の端に向かって伸びる溝のことです。実は、頬と口まわりの境目として、赤ちゃんにも、若い人にも、誰にでもあるものです。

目元や額のしわとの違い

目尻や額のしわは、表情を作るたびに皮膚が折れ曲がり、その折り目が線として残るものです。

一方、ほうれい線が深く見えるのは、頬のたるみなどによって、口元との間に「段差」ができ、そこに影が落ちることが大きいと言われています。つまり、ほうれい線は、線そのものよりも、その上にある頬の状態が関わっていることが多いのです。

4つの層で考える、ほうれい線の原因

顔は、外側から「皮膚」「脂肪」「筋肉・靭帯」「骨」が重なってできています。ほうれい線は、この4つの層の変化が重なって目立ってくると考えられています。

皮膚 — ハリと潤いの低下

皮膚のハリを保っているのは、コラーゲンやエラスチンという成分です。年齢とともに、また紫外線や乾燥の影響で、これらが減っていくと、皮膚の弾力が落ちて、重力に負けやすくなります。

脂肪 — 頬の脂肪が下がる

頬の高い位置にある脂肪は、年齢とともに少しずつ下へと移動したり、量が減ったりすると言われています。下がった脂肪が口元の上にたまることで、段差が生まれます。若い方でも、頬の脂肪がふっくらしていると、ほうれい線が目立つことがあります。

筋肉・靭帯 — 表情筋の衰えとこり

頬を持ち上げる大頬骨筋(だいきょうこつきん)や、口のまわりを囲む口輪筋(こうりんきん)などの表情筋が衰えたり、こり固まったりすると、頬を支える力が弱くなります。また、顔の組織を骨につなぎとめている靭帯がゆるむことも、たるみにつながると考えられています。

骨 — 年齢による変化

年齢を重ねると、頬骨や上あごの骨も少しずつ痩せていくと言われています。土台が小さくなることで、その上の皮膚や脂肪が余り、たるみやすくなるという考え方です。

ほうれい線を深くしてしまう生活習慣

  • 紫外線や乾燥
  • スマートフォンを見るなど、うつむいた姿勢が長い
  • 頬杖をつく、いつも同じ側を下にして寝る
  • 歯を食いしばるクセがある
  • 急に体重が増えたり減ったりした

そのケア、逆効果かも

強いマッサージで伸ばさない

ほうれい線を消そうと、指でぐいぐい伸ばしたり、強くこすったりしていませんか?

口元や頬の皮膚はデリケートです。強くこすったり引っ張ったりすると、皮膚に負担がかかり、かえってたるみや肌荒れの原因になることがあります。また、ほうれい線の原因は皮膚の下の脂肪や骨にもあるため、表面をマッサージするだけで大きく変えるのは難しいと言われています。

表情筋トレーニングはほどほどに

表情筋を動かすことは、筋肉のこりをほぐし、巡りを促す助けになります。ただし、顔をしかめるような大げさな動きを長時間続けると、別の表情じわの原因になることもあります。何事も「ほどほど」が大切です。

セルフケアで届きやすいこと・届きにくいこと

正直にお伝えすると、ほうれい線の原因には、セルフケアで変えやすいものと、変えにくいものがあります。

  • 届きやすいこと — 肌の乾燥、むくみや顔の巡り、表情筋のこり、生活習慣による悪化の予防
  • 届きにくいこと — 骨の変化、脂肪の量や位置の変化、深く刻まれた溝

セルフケアは、「今以上に深くしない」「肌の状態を整える」ことが中心だと考えてください。どうしても気になる場合は、美容皮膚科や形成外科で相談するのも一つの方法です。

東洋医学的な視点から

「脾は肌肉を主る」— 胃腸が肌を持ち上げる

東洋医学には、「脾(ひ)は肌肉(きにく)を主る」という言葉があります。消化吸収を担う「脾」が、肌や筋肉に栄養を送り、ハリを保っているという考え方です。

さらに脾には、体の組織を持ち上げて支える働きがあるとされています。そのため、胃腸が弱ると、肌や筋肉のハリがなくなり、たるみにつながると考えられています。

口まわりを通る経絡

ほうれい線のあたりには、胃の経絡(足陽明胃経〈あしようめいいけい〉)や、大腸の経絡(手陽明大腸経〈てようめいだいちょうけい〉)が通っています。どちらも顔の前面に気血を巡らせる経絡とされ、胃腸の調子が口元にも表れやすいと考えられています。

東洋医学と美容の関係については、こちらの記事でもお話しています。

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自宅でできるやさしいケア

こすらないスキンケアと、保湿・紫外線対策

洗顔は泡でやさしく、タオルは押さえるように水分をとります。化粧水やクリームも、こすらずに手のひらでなじませましょう。保湿と日焼け止めで、皮膚の層を守ることが基本です。

乾燥対策については、こちらの記事でもお話しています。

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口まわりを「動かす」

  • あいうえお体操 — 口を大きく、ゆっくり「あ・い・う・え・お」と動かす。5回ほど
  • 舌回し — 口を閉じたまま、舌先で歯ぐきの外側をぐるりとなぞる。右回り・左回りを5回ずつ

どちらも、やりすぎずに1日1回程度から始めてみてください。

顔を支える側頭筋をゆるめる

頭の横にある側頭筋(そくとうきん)がこると、フェイスラインのもたつきにつながると言われています。側頭筋のほぐし方は、こちらの記事でお話しています。

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姿勢と生活習慣を見直す

スマートフォンは目の高さに近づけて持ち、うつむく時間を減らしましょう。頬杖をやめる、寝る向きを偏らせないことも大切です。日中、歯を食いしばっていることに気づいたら、上下の歯を離して力を抜いてみてください。食いしばりと顔の関係は、こちらの記事でお話しています。

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ほうれい線のケアによく用いられるツボ

  • 迎香(げいこう) — 小鼻のふくらみのすぐ横
  • 巨髎(こりょう) — 瞳の真下に下ろした線と、小鼻の下の高さが交わるあたり。頬骨の下のくぼみ
  • 地倉(ちそう) — 口の端のすぐ外側
  • 足三里(あしさんり) — 膝のお皿の外側の下のくぼみから、指4本分下。胃腸を整え、体の内側から支えるツボです

顔のツボは、指の腹や綿棒を使って、こすらずに垂直にやさしく押します。3〜5秒を3回ほどが目安です。肌荒れや傷がある場所は避けてください。

体の内側から整える

東洋医学の考え方では、胃腸の働きが肌のハリを支えています。冷たいものや脂っこいものをとりすぎず、肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質を意識してとりましょう。しっかり眠ることも、肌の回復には欠かせません。

美容鍼という選択肢

美容鍼は、顔に細い鍼をすることで、表情筋への刺激や、血流を促すことを目的とした施術です。顔のたるみと美容鍼については、こちらの記事でお話しています。

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顔は血管が多いため、施術後に内出血が出ることがあります。通常は時間とともに消えていきますが、大事な予定の前は避けるなど、施術者と相談してください。体調や持病、飲んでいる薬(血液をサラサラにする薬など)、妊娠の有無も事前に伝えましょう。効果の感じ方には個人差があります。

気をつけたい場合・受診の目安

次のような場合は、ほうれい線のケアではなく、すぐに医療機関を受診してください。

  • 急に片側の顔が動かしにくくなった、口の端が下がった、目が閉じにくい
  • ろれつが回らない、手足に力が入らない

顔の片側の筋肉が動かなくなる顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)や、脳卒中の可能性があります。片側のほうれい線が急に浅くなった、消えたように見えるのも、麻痺のサインのことがあります。

また、口まわりに赤みやかゆみ、湿疹がある場合は皮膚科で相談してください。

まとめ

ほうれい線は、しわというより、頬のたるみによってできる「影」の要素が大きいと言われています。原因は、皮膚・脂肪・筋肉・骨の4つの層の変化が重なったもので、強いマッサージで伸ばしても大きく変えるのは難しく、かえって逆効果になることもあります。

こすらないスキンケア、口まわりをほどよく動かすこと、姿勢や生活習慣の見直し、そして東洋医学の考え方にならって胃腸をいたわることで、「今以上に深くしない」ケアを続けてみてください。肌の状態や変化には個人差があります。

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