こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
デスクワークのあと、背中がガチガチに張っている。肩甲骨の間がずっと重い。朝起きると背中が痛む。そんな背中の不調を感じていませんか?
背中の痛みの多くは、筋肉のこりによるものです。ただ、中には内臓の病気が背中の痛みとして表れていることもあります。今回は、背中の痛みの原因の見分け方と、見逃してはいけないサイン、そして自宅でできるケアについてお話します。
まず確認してほしい、すぐに受診すべき背中の痛み
次のような背中の痛みは、心臓や大きな血管の病気の可能性があります。すぐに救急を受診し、必要であれば救急車を呼んでください。
- 突然始まった、引き裂かれるような激しい痛み
- 胸の痛みや締めつけられる感じ、冷や汗、息苦しさ、吐き気を伴う
- 意識が遠のく感じがある
胸の痛みがなく、背中だけが強く痛む場合もあるため、「いつもと違う」と感じたら、ためらわずに受診してください。

背中の痛みの原因は大きく3つ
筋肉・骨格
もっとも多いのが、筋肉や骨格によるものです。猫背や巻き肩などの姿勢、長時間の同じ姿勢、背骨や肋骨まわりの動きの悪さなどが原因になります。
また、骨がもろくなっている高齢の方では、尻もちや軽い動作をきっかけに、背骨がつぶれるように骨折する「圧迫骨折」が起こることもあります。
神経
神経が原因の背中の痛みとして知られているのが、帯状疱疹(たいじょうほうしん)です。肋骨に沿ってピリピリ、チクチクとした痛みが出て、数日後に赤い発疹や水ぶくれが現れることがあります。発疹が出る前は、痛みだけのことも少なくありません。
内臓(関連痛)
内臓の病気による痛みが、離れた背中の痛みとして感じられることがあります。これを「関連痛(かんれんつう)」と呼びます。内臓の痛みを伝える神経と、背中の皮膚や筋肉の感覚を伝える神経が、脊髄の同じあたりに入るため、脳が痛む場所を取り違えてしまうと考えられています。
「動くと痛む」か「じっとしていても痛む」か
動きや姿勢で変わる痛み
体をひねる、腕を上げる、前かがみになるなど、動きや姿勢によって痛みが強くなったり楽になったりする場合は、筋肉や骨格が原因であることが多いと言われています。
じっとしていても痛む・夜も痛む
一方で、次のような場合は、内臓の病気が隠れている可能性もあります。
- じっとしていても痛む、姿勢を変えても楽にならない
- 夜、寝ているときも痛む
- 発熱、吐き気、冷や汗などを伴う
- 食事のあとに痛みが強くなる

痛む場所と、考えられる内臓の目安
| 痛む場所 | 考えられる内臓の例 |
|---|---|
| 左の背中・肩甲骨のあたり | 心臓 |
| 右の背中・右の肩甲骨のあたり | 胆のう、肝臓(脂っこい食事のあとなど) |
| 背中の中央〜左 | 膵臓(すいぞう)、胃・十二指腸 |
| 背中の下のほう・わき腹 | 腎臓、尿管 |
これはあくまで目安で、例外も多くあります。自分で判断せず、気になる症状があれば医療機関で相談してください。
背中がこる理由
背骨を支える脊柱起立筋
背骨の両わきには、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)という縦に長い筋肉があり、上半身をまっすぐに支えています。猫背やうつむいた姿勢が続くと、この筋肉が引き伸ばされたまま働き続け、こりや痛みにつながります。
肩甲骨の間の筋肉
肩甲骨の間には、僧帽筋(そうぼうきん)や菱形筋(りょうけいきん)など、肩甲骨を支える筋肉があります。肩甲骨のまわりの筋肉については、こちらの記事で詳しくお話しています。
呼吸が浅いと、背中もこわばる
呼吸をするとき、肋骨は前だけでなく、背中側にも広がります。ストレスや猫背で呼吸が浅くなると、肋骨や背中の動きが小さくなり、背中のこわばりにつながると考えられています。呼吸については、こちらの記事でお話しています。

東洋医学的な視点から
背中には「内臓の名前」のツボが並んでいる
背骨の両わきには、足太陽膀胱経(あしたいようぼうこうけい)という経絡(けいらく)が通っています。その上には、上から順に、肺兪(はいゆ)、心兪(しんゆ)、肝兪(かんゆ)、脾兪(ひゆ)、胃兪(いゆ)、腎兪(じんゆ)など、五臓六腑の名前がついたツボが並んでいます。これらは「背兪穴(はいゆけつ)」と呼ばれます。
東洋医学では、内臓の状態が背中のこりや痛み、ツボの反応として表れると考え、背中を「内臓の様子を映す場所」として大切にしてきました。
西洋医学の関連痛と通じる考え方
内臓の状態が、離れた背中に表れる。西洋医学の関連痛と、東洋医学の背兪穴は、成り立ちは違いますが、この点で通じる部分があるのは興味深いところです。
ただし、「この場所がこっているから、この内臓が悪い」と自分で判断できるものではありません。内臓の病気が心配な場合は、必ず医療機関で検査を受けてください。
内臓と体の表面のつながりについては、こちらの記事でもお話しています。
同じ姿勢・冷え・ストレスと気血の滞り
東洋医学では、同じ姿勢を続けることや、体の冷え、ストレスによって、背中の気(き)や血(けつ)の巡りが滞ると、こりや痛みが生じると考えます。
背中のこりをほぐすセルフケア
ここからは、筋肉のこりによる背中の痛みへのセルフケアです。前の章の受診すべき症状がないことを確認してから行い、痛みが強くなる場合はすぐに中止してください。
背中を丸める・反らす(猫と牛のポーズ)
- 四つ這いになり、手は肩の真下、膝は脚の付け根の真下に置く
- 息を吐きながら、おへそをのぞき込むように背中を丸める
- 息を吸いながら、胸を前に出すように、背中をゆっくり反らす
- これを5〜10回、ゆっくり繰り返す
座ったままできるひねり
椅子に座り、背すじを伸ばしたまま、上半身をゆっくり左右にひねります。背もたれを手でつかむと、ひねりやすくなります。仕事の合間にも取り入れてみてください。
深呼吸で背中を動かす
両手を肋骨の横に当て、鼻からゆっくり息を吸って、肋骨が横や背中側にも広がるのを感じます。そのまま口からゆっくり吐きます。5回ほど繰り返しましょう。

温める
湯船につかる、蒸しタオルを当てるなどして、背中を温めると筋肉がゆるみやすくなります。カイロを使う場合は、低温やけどを防ぐため、肌に直接貼らないでください。
テニスボールとツボ
背中は自分の手が届きにくいので、テニスボールを使うのがおすすめです。床や壁と背中の間にテニスボールをはさみ、こっている場所に当てて、ゆっくり体重をかけます。背骨の上や、痛みが強くなる場所は避けてください。
背中のこりには、次のようなツボがよく用いられます。
- 天宗(てんそう) — 肩甲骨のほぼ中央にあるくぼみ
- 膈兪(かくゆ) — 左右の肩甲骨の下の角を結んだ高さで、背骨から指2本分外側
- 後渓(こうけい) — 手を軽く握ったとき、小指の付け根の外側にできるしわの先。手にあるので、自分で押しやすいツボです

後渓のツボ↓

姿勢を見直す
長時間同じ姿勢でいると、背中の筋肉が休めません。30分から1時間に一度は立ち上がる、パソコンやスマートフォンの画面を目の高さに近づけるなど、姿勢を見直してみてください。
受診の目安と、何科に行けばいいか
冒頭でお伝えした、すぐに救急を受診すべき症状のほかに、次のような場合も早めに受診してください。
- 内科へ — じっとしていても痛む、夜も痛む。発熱や吐き気、食事のあとに強くなる痛み、白目や皮膚が黄色い(黄疸)、尿に血が混じる。必要に応じて、循環器内科・消化器内科・泌尿器科につないでもらえます
- 皮膚科・内科へ — 背中からわき腹にかけてピリピリ痛み、発疹が出てきた(帯状疱疹は早めの治療が大切と言われています)
- 整形外科へ — 尻もちや軽い動作のあとから背中が痛い、足のしびれや力が入りにくい、体を動かすと強く痛む
- 共通 — 痛みが1〜2週間以上続く、だんだん強くなる、体重が減ってきた

まとめ
背中の痛みの多くは、姿勢や同じ姿勢の続けすぎによる筋肉のこりです。ただし、じっとしていても痛む、夜も痛む、発熱や冷や汗を伴うといった場合は、内臓の病気が背中の痛みとして表れていることもあります。
東洋医学でも、背中は「内臓の様子を映す場所」と考えられてきました。こりによる痛みは、背中を動かす、温める、呼吸を深めるといったケアで和らげつつ、いつもと違う痛みのときは、我慢せずに医療機関を受診してください。症状には個人差があります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
X(旧Twitter)もやっているのでフォローよろしくお願いします。
X(旧Twitter)アカウント→@shinbitokenn


コメント