こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
椅子から立ち上がった瞬間や、寝起きに感じるクラっとする感覚。立ちくらみを経験したことがある方は多いのではないでしょうか。
私自身も、子どもを抱えて立ち上がったときや、床に落ちたものを拾って立ち上がったときにクラっとした経験があります。
「立ちくらみ=貧血」と思われがちですが、実は原因はそれだけではありません。今回は、立ちくらみの主な原因と見分け方、起きたときの対処法、そして食事やツボでできる予防についてお話します。
立ちくらみの原因は貧血だけではない
起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)
急に立ち上がると、重力で血液が足のほうに下がります。通常は自律神経(じりつしんけい)が血圧を調整して脳への血流を保ちますが、この調整が追いつかず、脳への血流が一時的に不足して起きるのが起立性低血圧です。
寝起きや長時間座ったあと、お風呂上がり、飲酒後、脱水気味のときなどに起こりやすいと言われています。
貧血
血液中の赤血球やヘモグロビンが減り、体に酸素を十分に運べなくなった状態です。立ちくらみのほか、疲れやすさ、息切れ、動悸(どうき)、顔色が悪いといった症状が出ることもあります。
見分け方
貧血と起立性低血圧は症状が似ていますが、調べ方が異なります。
- 貧血 → 血液検査でヘモグロビンの値を調べる
- 起立性低血圧 → 横になった状態と、立ち上がった直後の血圧の変化を調べる(医療機関では「シェロング試験」と呼ばれる検査が行われることもあります)
自己判断で区別するのは難しいため、立ちくらみが頻繁に起こる場合は、一度内科で検査を受けてみることをおすすめします。
立ちくらみが起きたときの対処法
クラっとしたら、無理に立ち続けたり歩いたりせず、その場でしゃがむか座ってください。倒れて頭を打つことが一番危険です。
可能であれば横になり、足を少し高くすると脳に血液が戻りやすくなります。落ち着いてから、ゆっくり立ち上がりましょう。
立ちくらみを防ぐ生活の工夫
- ゆっくり立ち上がる — 寝起きは一度座ってから立つ。しゃがんだ姿勢からは、何かにつかまりながら立つ
- 水分をこまめにとる — 脱水は血液の量を減らし、立ちくらみにつながりやすいと言われています
- ふくらはぎを動かす — 立ち上がる前に足首を動かしたり、足踏みをしたりすると、足の血液が心臓に戻りやすくなります
- お風呂上がりや飲酒後は特に注意 — 血管が広がり、血圧が下がりやすいタイミングです
血圧の薬など、飲んでいる薬の影響で立ちくらみが起こることもあります。薬を飲み始めてから立ちくらみが増えた場合は、自己判断でやめずに医師や薬剤師に相談してください。
貧血の種類
貧血は、赤血球の大きさによって主に3つのタイプに分けられ、それぞれ原因が異なります。
① 小球性貧血 — 鉄不足が原因のことが多い
赤血球やヘモグロビンを作るための「鉄」が不足することで起こるタイプです。中でも鉄欠乏性貧血は最も多く、特に女性に多いと言われています。月経による出血や、ダイエットによる栄養不足が原因になることがあります。
私の妻も貧血があり、病院での検査でもよく貧血の診断を受けていました。そのたびに「鉄をとりなさい」と必ず言われるそうです。
② 大球性貧血 — ビタミンB12や葉酸の不足
赤血球を作るために必要なビタミンB12や葉酸(ようさん)が不足することなどで起こるタイプです。ビタミンB12や葉酸は体内で作ることができないため、食べ物からとる必要があります。
③ 正球性貧血 — 骨髄の働きの低下など
赤血球の大きさには問題がないものの、作られる量が少なかったり、早く壊されたりすることで起こるタイプです。骨髄(こつずい)の病気などが原因のこともあり、食事では防げないため、医療機関での検査と治療が大切です。

食事で予防できる貧血
上記のうち、食事で予防しやすいのは、鉄欠乏性貧血と、ビタミンB12・葉酸の不足による貧血(巨赤芽球性貧血〈きょせきがきゅうせいひんけつ〉)です。
鉄は2種類ある
- ヘム鉄(動物性) — 吸収率が高く、約15〜25%と言われています。豚レバー、豚もも肉、カツオ、イワシなどに多く含まれます
- 非ヘム鉄(植物性) — 吸収率は低めですが、ビタミンCと一緒にとると吸収率が上がります。小松菜、ほうれん草、納豆、豆腐などに含まれます
ビタミンCが豊富なトマト、じゃがいも、ブロッコリーなどを、非ヘム鉄の食材と組み合わせるのがおすすめです。
私の妻が妊娠中に貧血で鉄分を多くとるように言われたときは、ほうれん草とじゃがいもの炒め物を作って食べていました。足りない部分は医師の指導のもとでサプリメントや処方薬を飲み、数値を見ながら、最終的には食事を中心に体調を維持できるようになりました。
※個人の経過であり、効果を保証するものではありません。
ビタミンB12と葉酸
ビタミンB12は、レバー類、アサリやしじみなどの貝類、卵、チーズに多く含まれています。
葉酸は、ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、納豆などに多く含まれています。水に溶けやすく熱に弱いため、ゆでる時間を短くしたり、スープにして汁ごと食べたりすると効率よくとれます。
妊娠中は特に葉酸が不足しやすいと産婦人科の先生に言われたので、妻の好きなブロッコリーとベーコンの炒め物をよく作っていました。
なお、妊娠中はビタミンAのとりすぎに注意が必要なため、レバーを食べる量については医師や助産師に相談してください。

東洋医学的な視点から
立ちくらみは「血」と「気」の不足
東洋医学では、立ちくらみを主に次の2つの状態から考えます。
- 血虚(けっきょ) — 体を養う「血(けつ)」が不足している状態。顔色が白っぽい、爪がもろい、目が疲れやすいといった特徴が見られることがあると言われています
- 気虚(ききょ) — 生命エネルギーである「気(き)」が不足している状態。血を頭まで持ち上げる力が弱く、疲れやすい、食後に眠くなるといった特徴が見られることがあります
胃腸(脾)を整えることが大切
東洋医学では、気や血は、食べたものから胃腸の働き脾(ひ)によって作られると考えられています。そのため、血や気を補うには、まず胃腸を整えることが大切です。
貧血の患者さんによく使うツボ「血海(けっかい)」
私が整骨院で貧血の患者さんに対してよく使うツボが、血海です。東洋医学で血の巡りや、婦人科系のバランスを整える際によく用いられるツボです。
場所:膝のお皿の内側の上端から、指3本分上がったところ。
私は臨床の中で、胃腸を整える他のツボと組み合わせて、血海に鍼やお灸をしています。患者さんからは「スッキリしやすくなった」といった感想をいただくことがあります。
ご自身で押す場合は、心地よい程度の強さで5〜10秒ほどゆっくり押してみてください。

悪化した場合や心配な場合
立ちくらみの背景には、他の病気が隠れている場合もあります。次のような場合は、内科や循環器内科を受診してください。
- 立ちくらみが頻繁に起こる、だんだん増えている
- 息切れや動悸、強い疲れやすさが続いている
- 黒っぽい便や血便が出る
- 月経の出血量が多い
また、次のような場合はすぐに医療機関を受診し、症状が重い場合は救急車を呼んでください。
- 意識を失った(失神した)
- 胸の痛みや強い動悸、息苦しさがある
- ろれつが回らない、手足に力が入らない、しびれがある

まとめ
立ちくらみの原因は、貧血だけでなく、起立性低血圧などさまざまです。クラっとしたらまずしゃがんで転倒を防ぎ、日頃からゆっくり立ち上がる、水分をとるといった工夫をしてみてください。
貧血が原因の場合は、鉄分やビタミンB12・葉酸を意識した食事が予防につながります。ただし原因や体質には個人差があるため、立ちくらみが続く場合は自己判断せず、一度医療機関で検査を受けてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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