こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
「気がついたら歯を強く噛みしめていた」「朝起きると顎がだるい、こめかみが痛い」
こうした「食いしばり」の相談は、肩こりや頭痛と並んで、施術中によく伺う内容の一つです。そしてお話を伺っていくと、食いしばりに悩む方の多くが実は美容面でも気になる悩みを抱えていることに気づきます。エラの張り、顔のたるみ、ほうれい線、くすみ、実はこれらの背景に食いしばりが関わっているケースは少なくありません。
今回は食いしばりと美容がなぜ関係するのか、そして施術でもよく使う「下関(げかん)」というツボについて、鍼灸師の視点からお話しします。
食いしばりが起こる理由
食いしばりは、日中の無意識な癖(覚醒時ブラキシズム)と睡眠中の歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)の両方で起こります。特に日中の食いしばりは、パソコン作業や集中している時、緊張している場面などで無意識に起こしやすく、本人が気づいていないケースがほとんどです。
西洋医学的には、ストレスによる交感神経の過緊張が、咬筋(こうきん)をはじめとする顎まわりの筋肉を無意識に緊張させることが主な原因と考えられています。ストレス社会と言われる現代では、パソコン、スマートフォンに集中する時間が長く、姿勢の乱れも重なって、食いしばりが起こりやすい環境が揃っていると考えられています。
私もパソコン作業をしている時に姿勢が崩れていることがあるので1時間に一回は体を動かしたり、立ったりして姿勢をリセットするように意識しています。

食いしばりが美容に与える影響
食いしばりが習慣化すると、顎周りの筋肉である咬筋が過剰に発達し、いわゆる「エラの張り」につながります。また、咬筋の緊張は周辺の血流やリンパの流れを悪化させ、次のような美容面の悩みにもつながってきます。
・顔のたるみ
咬筋の緊張が顔全体の筋膜のバランスを崩し、頬やフェイスラインのたるみを招きやすくなる。咬筋と連動してこめかみの周辺についている側頭筋も動きます。
・むくみ、くすみ
血流やリンパの流れが滞ることで、老廃物が排出されにくくなります。リンパは耳周辺から鎖骨にかけて流れるので、前述で話した咬筋の近くも通ります。
・ほうれい線、シワ
噛み締めによる筋肉の緊張パターンが、特定の部位にシワとして刻まれやすくなります。
・顔の歪み
左右どちらか一方で噛み締める癖があると、顔の非対称につながることもあります。
「マッサージをしても顔のむくみが取れない」という方の多くは、表情筋や皮膚だけでなく、その奥にある咬筋の緊張が根本的な原因になっていることが少なくありません。
東洋医学から見る食いしばり
東洋医学では、顎や歯の周りは「胃経(いけい)」という経絡が通る領域と重なります。ストレスにより気の滞り(気滞)が胃経の流れを阻害すると、顎周りの緊張として現れやすいと考えられています。
また、噛みしめが習慣化して長引くと、その部分の気血の巡りが滞った状態になり、これが冷え、むくみ、くすみといった、いわゆる「美容トラブル」として表面化してくるのです。東洋医学では「不通則痛(ふつうそくつう)」つまり「巡りが滞ると痛みや不調が生まれてくる」という考えがありますが、これは美容面の悩みにも通じるところがあります。
おすすめのツボ「下関(げかん)」
食いしばりのケアとして、施術でもよく使うツボが「下関(げかん)」です。
位置は頬骨の下、耳の前方あたりにあります。口を閉じた状態で、頬骨の下縁と下顎骨の間にあるくぼみを触るとわかりやすいです。口を開け閉めすると、動く部分のすぐ近くにあります。
特徴は胃経に属するツボで、咬筋のちょうど近くに位置しています。顎関節や咬筋の緊張を緩める作用があるとされ、食いしばりによる顎のだるさ、こめかみの張り、エラの緊張感に対して、鍼灸の現場でも頻繁に使われるツボの一つです。

セルフケアでの押し方は
①頬骨の下、耳の前あたりのくぼみに人差し指か中指を置く
②痛気持ちいと感じる強さで、優しく円を描くようにゆっくり押す
③5秒押して離すを5〜10回程度繰り返す
④お風呂上がりなど、血流が良くなっているタイミングで行うと、よりほぐれやすくなります。
強く押しすぎると揉み返しのような反応が出ることもあるため、あくまで「気持ちいい」と感じる範囲で行うのがポイントです。

日常でできる食いしばり対策
ツボ押しと合わせて、日常生活の中でも意識できることをいくつかご紹介します。
・上下の歯を離す意識を持つ
デスクや目に見えるところに「歯を離す」というメモを貼っておくのもおすすめです。本来。上下の歯は会話や食事の時以外は触れていないのが自然な状態です。食いしばりが酷くなると「顎関節症」などの症状につながることもあります。
・姿勢を整える
猫背やスマートフォンを見る時のうつむき姿勢は、顎まわりの筋肉に余計な負担をかけます。
・就寝前にリラックスする時間を持つ
交感神経が優位なまま眠ると、睡眠中の歯ぎしりにつながりやすくなります。

まとめ
食いしばりは無意識の癖であるだけに、なかなか自分では気づきにくいものです。しかし、顔まわりの美容の悩みが続いているという方は、一度、顎や咬筋の緊張に目を向けてみると、思わぬ発見があるかもしれません。
「下関」は自宅でも押しやすいツボですので、でひ日々のセルフケアに取り入れてみてください。そして、食いしばりの癖が強い、なかなか緩まないという場合は、鍼灸で顎周りだけでなく全身の巡りを整えていくことも、根本的な改善への近道になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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