こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
「暑い夏はやっぱり冷たい飲み物が一番」という方もいれば、「体を冷やすから常温か温かいものを飲むようにしている」という方もいて、患者さんとの会話でもよく話題になるテーマです。
ネットで調べても「冷たい飲み物は体に悪い」「いや、そんなことはない」と正反対の情報が飛び交っていて、結局どちらが正しいのか分からなくなっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、このテーマを西洋医学と東洋医学、両方の視点から整理してみたいと思います。結論から言うと「どちらが絶対的な正解」と言うものではなく、体質や状況によって使い分けるのが答えに近いと考えています。
西洋医学から見た冷たい飲み物・温かい飲み物
・冷たい飲み物の特徴
冷たい飲み物は、暑い時期の体温上昇を素早く抑えたり、運動後の熱がこもった体をクールダウンさせたりする効果があります。また、キンキンに冷えた飲み物は喉ごしが良く、水分補給がスムーズに進みやすいというメリットもあります。
一方で、冷たい飲み物を一気に大量に摂ると、胃腸の血管が収縮し、消化機能が一時的に低下することが分かっています。冷たいものを飲んだ直後にお腹が緩くなったり、胃が重く感じたりするのは、このためです。
私自身も冷たい飲み物を摂ることが多いですが、最近はあまり冷たすぎないように気をつけています。

・温かい飲み物の特徴
温かい飲み物は、胃腸への負担が少なく、消化機能をサポートしやすいとされています。また、体を内側から温めることで血管が広がり、血流が促進されます。リラックス効果もあり、就寝前に温かい飲み物を摂ると、副交感神経が優位になりやすく、入眠がスムーズになるとも言われています。
ただし、熱すぎる飲み物を習慣的に摂ることは、食道への負担という観点から注意が必要とされています。「熱々」ではなく「温かい」くらいの温度が体には優しいでしょう。
東洋医学から見た冷たい飲み物・温かい飲み物
東洋医学では、冷たい飲み物は「脾胃(ひい)」、つまり消化器系の働きを弱めるものとして、古くから注意が促されていました。
・脾胃を冷やすことの影響
東洋医学でいう脾胃は、飲食物から「気」や「血」を作り出す、いわば体のエネルギー工場のような存在です。冷たいものを摂りすぎると、この脾胃の働きが低下し、消化不良、むくみ、冷え、疲れやすさといった不調につながると考えられています。特に、もともと脾胃が弱い体質(胃腸が弱く、軟便になりやすい、食欲にムラがあるなど)の方は、冷たい飲み物の影響を受けやすい傾向があります。
・「陽気」を保つことの大切さ
東洋医学では、体を温める働きをもつエネルギーを「陽気」と呼びます。温かい飲み物は、この陽気を保つ助けになるとされ、特に冷えを感じやすい方、疲れやすい方には、日常的に温かい飲み物を選ぶことが養生の基本として勧められます。
・とはいえ「冷たいもの=絶対悪」ではない
一方で東洋医学は季節や体質、その日の状態に応じて対応を考える「弁償論治(べんしょうろんち)」という考えを大切にしています。真夏の炎天下で体に熱がこもっている「熱証(ねっしょう)」の状態では、適度に体を冷ますことも必要とされます。つまり、冷めたものを完全に否定するのではなく、「今の自分の状態に合っているか」を見極めることが東洋医学的な視点では重要です。

体質によって向き・不向きがある
臨床の現場で患者さんを見ていると、冷たい飲み物への耐性にははっきりとした個人差があります。
・冷え性、胃腸が弱いタイプ
冷たい飲み物で下痢や胃もたれを起こしやすく、温かい飲み物の方が体に合っている方。
・熱がこもりやすいタイプ(のぼせやすい、暑がりなど)
適度に冷たいものを取り入れた方が、体のバランスが取りやすいです。
・運動後、発汗時
一時的に冷たい飲み物で体温を下げることは、熱中症予防の観点からも理にかなっています。
つまり、「冷たい派」「温かい派」のどちらが正解かではなく、自分の体質や、その時の体の状態に合わせて選ぶことが、本質的な答えに近いと言えます。
上手な選び方のヒント
・基本は常温〜温かいものを軸にする
特に胃腸が弱い方、冷えを感じやすい方は、普段の水分補給は常温か温かいものを基本にするのがおすすめです。
・暑い日や運動後は冷たいものも活用する
熱中症予防の観点からも、必要な場面では無理に我慢をせず、冷たい飲み物で体温調整をした方が良いです。
・一気飲みを避ける
冷たい飲み物を飲む時も、少しずつゆっくり摂ることで、胃腸への負担を減らせます。
・朝一番は温かいものから
寝ている間に下がった体温や、休んでいた胃腸を朝一番の冷たい飲み物でいきなり刺激するのは負担になりやすいです。朝は白湯や温かいお茶から始めるのも一つの方法です。
水分補給の観点で合わせて知っておきたい記事を貼っておきます。

まとめ
「冷たい飲み物と温かい飲み物、どちらが正解か」という問いに対する答えは、「体質と場面によって使い分けるのが正解」というのが、西洋医学、東洋医学、両方を踏まえた結論だと感じています。
普段から冷えや胃腸の不調を感じやすい人は、まずは温かい飲み物を基本にしてみる。その上で、暑い日や汗を描いた後など、体が必要としている場面では、冷たい飲み物も上手に取り入れる。そんなバランス感覚を持つことが、体にとって心地よい選択につながっていくのではないでしょうか。
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