こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
最近なんだか太って見える。でも体重はそれほど変わっていない。そんなときは、脂肪ではなく「むくみ」が原因かもしれません。
施術中、患者さんから「先生、私ってむくんでいますか?」「むくんでますよね?」と聞かれることがとても多いです。それだけ多くの方が気にされている、身近な悩みなのだと感じます。
今回は、むくみが起こる仕組みと原因、脂肪との見分け方、そして鍼灸師としておすすめしたいセルフケアについてお話します。以降、浮腫(ふしゅ)=むくみと表記していきます。
むくみはなぜ起こる?
体の水分は3か所に分かれている
解剖学や生理学の授業でも習いますが、私たちの体の約60%は水分でできていると言われています。その水分は、細胞の中、血管の中、そして細胞と細胞のすき間に、バランスよく分配されています。

すき間に水分が溜まるとむくみになる
血管の中の水分は、血管の壁から細胞のすき間へしみ出し、また血管やリンパ管へと回収されることを繰り返しています。
ところが、血液やリンパの流れが滞ると、静脈の圧力が高まり、血管の外へ押し出される水分が増えます。回収しきれなかった水分が細胞と細胞のすき間に溜まった状態が、むくみです。
日常的な足のむくみの多くは、このように血液(特に静脈)やリンパの流れが滞ることで起こると考えられています。
むくみを引き起こす主な原因
長時間の同じ姿勢
重力の影響で、血液は足に溜まりやすくなります。足の血液を心臓へ送り返しているのは、歩いたり足を動かしたりしたときに働く、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用です。
特にデスクワークの方は、座りっぱなしで足を動かさない時間が長くなるため、このポンプ作用が働きにくく、足のむくみが起こりやすくなります。立ち仕事の方も同様です。

塩分のとりすぎ
体には、血液などの塩分濃度を一定に保つ働きがあります。塩分をとりすぎると、その濃度を薄めようとして体が水分を溜め込み、細胞の外の水分が増えてむくみやすくなります。
料理の味が濃くなったときに水を足して薄めると、全体の量が増えるのと同じイメージです。
アルコール
お酒を飲むと血管が広がり、血管の外へ水分がしみ出しやすくなると言われています。お酒を飲んだ翌朝に顔がパンパンになることがあるのは、このためと考えられています。
冷えや運動不足
冷えや運動不足で血液やリンパの流れが悪くなると、余分な水分が回収されにくくなります。長時間同じ姿勢を続けるのと同じく、筋肉のポンプ作用が働きにくくなることも背景にあります。
そのほかの原因
女性の場合は、月経前などホルモンバランスの変化でむくみやすくなることもあります。また、まれに心臓・腎臓・肝臓の病気や、薬の影響でむくみが出ることもあるため、いつもと違うむくみが続く場合は医療機関で検査を受けてください。
むくみ?脂肪?セルフチェック方法
指で押してみる
手軽にできるのが「指圧テスト」です。すねの骨のあたりを、指で10〜20秒ほど押してみてください。
指を離したあと、へこんだ部分がなかなか戻らない場合は、むくんでいる可能性が高いです。細胞のすき間に溜まった水分が移動して元に戻るまでに、時間がかかるためです。むくんでいない場合や、単純に脂肪がついている場合は、比較的すぐに戻ります。
靴下の跡を見る
靴下を脱いだときのゴムの跡の深さや、戻り具合も目安になります。跡が長時間くっきり残っている場合は、むくみのサインかもしれません。

「むくむから水を控える」は逆効果になることも
むくみが気になると、水分をとるのを控えたくなるかもしれません。しかし、水分が不足すると、体は水分を溜め込もうとして、かえってむくみやすくなることがあると言われています。
むくみ対策として大切なのは、水分を減らすことではなく、塩分をとりすぎないことと、溜まった水分を流れやすくすることです。心臓や腎臓の病気で水分制限を指示されている方は、医師の指示に従ってください。
東洋医学的な視点から
むくみは「水(すい)」の巡りの滞り
東洋医学では、体の中の水分を「水(すい)」と呼び、その巡りが滞った状態を「水滞(すいたい)」と捉えます。水分の巡りに関わる主な臓は、次の3つとされています。
- 脾(ひ) — 飲食物を消化・吸収し、水分を体に運ぶ
- 肺(はい) — 水分を全身に分配する
- 腎(じん) — 不要な水分を尿として排出する
胃腸が疲れている、体が冷えている、疲れがたまっているといった状態が続くと、これらの働きが落ち、むくみにつながると考えられています。
鍼灸でのアプローチ
施術では、これらの働きの低下に着目し、水分代謝を促す代表的なツボである三陰交(さんいんこう)や、胃腸の働きをサポートする足三里(あしさんり)などにアプローチします。
ツボへの刺激で水分の巡りにアプローチしたあと、足の裏やふくらはぎを実際に動かせるように手技を加えていくのが、施術の一般的な流れです。
自宅でできるセルフケア
ツボを押す
- 三陰交(さんいんこう) — 内くるぶしの一番高いところから、指4本分上。すねの骨の内側のきわにあります
- 足三里(あしさんり) — 膝のお皿の外側の下にあるくぼみから、指4本分下。すねの骨の外側にあります
心地よい程度の強さで、5〜10秒ほどゆっくり押してみてください。なお、三陰交は妊娠中の方には強い刺激を避けたほうがよいとされているツボです。妊娠中の方は、ご自身で強く押さないようにしましょう。
こまめに歩く、足首を動かす
デスクワークの間も、1時間に1回程度、足首の上げ下げやつま先立ちを行うだけで、ふくらはぎのポンプ作用を促せます。
ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれるほど、血液を心臓に送り返す大切な役割を担っています。また、足の裏を使ってしっかり歩くことも、血液やリンパの流れを促す良い運動になります。特別な運動でなくても、日常の中でこまめに体を動かすことが、むくみ予防の基本です。
足を心臓より高くする
横になるときに足元にクッションを置き、足を心臓より少し高くするだけでも、重力を利用して水分の滞りを軽減しやすくなります。
塩分を控え、体を冷やさない
味の濃い食事や加工食品を控えめにし、湯船につかって体を温めることも、むくみ対策になります。
悪化した場合や心配な場合
むくみは一時的なものがほとんどですが、病気が隠れているケースもあります。次のような場合は、自己判断せず内科や循環器内科を受診してください。
- むくみが数日たっても改善しない、だんだんひどくなっている
- 朝起きたときから顔やまぶたがむくんでいる状態が続く
- 尿の量が減った、尿が泡立つ
- 息切れがする、横になると息苦しい
- 体重が短期間で急に増えた
また、片方の足だけが急に腫れて、痛みや赤みがある場合は、足の血管に血の塊(血栓)ができている可能性もあります。すぐに医療機関を受診してください。

まとめ
むくみは、長時間の同じ姿勢や塩分のとりすぎ、冷えなどで、細胞のすき間に水分が溜まることで起こります。まずはセルフチェックで確認し、足首を動かす、ツボを押す、塩分を控えるといったセルフケアを試してみてください。
ただし、むくみの原因や体質には個人差があります。改善しない場合や不安な症状がある場合は、無理をせず医療機関や鍼灸院に相談してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
X(旧Twitter)もやっているのでフォローよろしくお願いします。
X(旧Twitter)アカウント→@shinbitokenn


コメント