こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
「夜中に足が攣って目が覚めます」「施術中に背中が攣りそうになる」整骨院で働いていると、こうした相談は本当によく耳にします。こむら返りといえばふくらはぎのイメージが強いですが、実は太もも、足の裏、背中、脇腹など体の様々な場所で「攣る」経験をしている方は少なくありません。
「年のせいでしょうか」「大した病気じゃないですよね」と、少し不安げに聞かれることも多いのですが、攣りやすさには体からのちゃんとしたサインがあります。今回は、患者さんからよくいただく相談をテーマに、西洋医学と東洋医学、両方の視点から「攣る」ということについてお話しします。
そもそも「攣る」とは何が起きているのか
「攣る」というのは、筋肉が自分の意思とは関係なく強く収縮し続けてしまう状態のことです。医学的には「有痛性筋痙攣」と呼ばれます。通常、筋肉は縮む・弛むを交互に繰り返しますが、何らかの理由でこの切り替えがうまくいかず、緊張したまま固まってしまうのです。
西洋医学的には、主に次のような要因が関わっているとされています。
・筋肉疲労
同じ姿勢が続いたり、使いすぎたりすることで、筋肉や神経の伝達がうまくいかなくなる。
・水分・電解質のバランスの乱れ
汗をかく、脱水気味であることにより、ナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウムといったミネラルバランスが崩れる。
・冷え
血流が悪くなることで、筋肉が過敏に反応しやすくなる。
・加齢による筋量の低下
筋肉量が減ると、少しの負荷でも筋肉に偏った疲労がかかりやすくなる。
・神経系の要因
脊柱管狭窄症や糖尿病など神経伝達に影響する疾患が背景にある場合もある。
「夜中にふくらはぎが攣る」というケースが多いのは、日中の活動による疲労や水分不足に加え、就寝中は体が動かず血流が滞りやすいこと、布団の重みでつま先が伸びた姿勢になりやすいことなどが重なるためです。
東洋医学から見る「攣り」
東洋医学では、「攣る」現象は「筋」の異常として捉えられ、五臓のうち特に「肝(かん)」との関わりが深いとされています。
東洋医学でいう肝は、「筋を司る」働きを持つと考えられており、肝が蓄える「血(けつ)」が筋肉に十分に行き渡ることで、筋はしなやかに動くことができるとされています。逆に、この血が不足したり(血虚)巡りが滞ったりすると、筋肉は栄養を受け取れずに硬く強張り、攣りやすくなると考えられています。
・血虚タイプ
疲れやすい、顔色が白っぽい、こむら返りを繰り返しやすい。過労や睡眠不足、産後などで血を消耗しているケースに多い。
・気滞、鬱血タイプ
ストレスや冷えによって気や血の巡りが滞り、特定の部位が張って攣りやすくなる。
・腎虚タイプ
加齢とともに、「腎」の力が弱まり、筋や骨を十分に養えなくなることで、下肢の攣りやこむら返りが起こりやすくなる。
高齢の患者さんに攣りの相談が多いのは、東洋医学的に見ると、加齢によって血や腎の力が少しずつ弱まっていくためだと説明がつきます。西洋医学でいう「筋力の低下」と東洋医学でいう「腎虚」は表現は違えど同じ現象を別の角度から捉えているとも言えるでしょう。

背中や脇腹が攣る場合
ふくらはぎだけでなく、背中や脇腹が攣るという相談も少なくありません。デスクワークで同じ姿勢が続く方、呼吸が浅くなりがちな方によく見られます。
東洋医学的には、背中や脇腹は「肝」の経絡が通る領域と重なる部分が多く、ストレスによる気の滞り(肝気鬱血)が、こうした部分の攣りやすさに繋がっていると考えることがあります。デスクワークによる姿勢の悪さと、ストレスによる気の滞りが合わさることで、背中の周りが常に緊張した状態になりやすいのです。
鍼灸の現場でお伝えしていること
施術の際、攣りやすい患者さんには、次のようなことをお伝えしています。
・水分をこまめに摂る
一気に飲むのではなく、こまめに少しずつ摂ることを意識する。コーヒーやアルコールは利尿作用もあるので水や麦茶がおすすめです。
・就寝前にふくらはぎを軽く伸ばし、冷やさない
強く伸ばしすぎず、心地よい範囲でストレッチをして、特に足元は温める習慣をつける。足の指でグー、パーと曲げ伸ばしをすることによってふくらはぎの筋肉が動き血の巡りをサポートしてくれます。

あまりにも頻繁に攣る、他の症状も伴う場合は、内科的な疾患が隠れている可能性もあるため、一度医療機関での検査をおすすめします。
鍼灸施術では、攣りやすい部位そのものだけでなく、東洋医学的な「肝」「腎」の状態を考慮しながら、全身の気血の巡りを整えるツボを選んでいきます。局所だけでなく、体質そのものにアプローチできるのが、鍼灸の強みだと感じています。
まとめ
「足が攣る」「背中が攣る」というのは、多くの方が経験しながらも、意外と原因を深く考えずに過ごしてしまいがちな症状です。しかし西洋医学的に見ても東洋医学的に見てもそこには体からのちゃんとしたメッセージが隠れています。
もし、攣りを繰り返し経験しているようであれば、それは「疲れがたまっているよ」「血の巡りが滞っているよ」という体からのサインかもしれません。日々のちょっとしたケアと合わせて、鍼灸で体質そのものを整えていくことも、一つの選択肢として考えて見てください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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