こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
階段の上り下りがつらい、椅子から立ち上がるときに膝が痛む。そんな膝の痛みに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
私のところにも、40〜60代の方を中心に、膝の痛みで来院される方が多くいらっしゃいます。お話を聞いていると、「膝のどこが痛むのか」によって、考えられる原因が違ってきます。
今回は、痛む場所から考えられる膝の痛みの原因と、鍼灸院での施術例、そして自宅でできるケアについてお話します。
膝の痛みは「痛む場所」で原因が違う
内側が痛む — 変形性膝関節症・半月板損傷・鵞足炎
膝の内側の痛みは、中高年の方に多く見られます。私が施術を担当してきた患者さんでも、膝の内側が痛む方が多くいらっしゃいました。
内側が痛む原因として代表的なのが、変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)や半月板損傷(はんげつばんそんしょう)です。また、膝の内側の少し下が痛む場合は、鵞足炎(がそくえん)の可能性もあります。鵞足とは、太ももの内側や裏側の筋肉の腱が膝の下につく部分で、その形がガチョウの足に似ていることから名付けられています。
外側が痛む — ランニングなどの運動をしている方に多い
膝の外側の痛みは、ランニングや自転車などの運動をしている方に多く見られます。実際に、運動をしている方で膝の外側が痛むという方もいらっしゃいました。
代表的なものに、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)があります。太ももの外側を通る腸脛靭帯が、膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで骨とこすれ、炎症が起こると考えられています。ランナーに多いことから「ランナー膝」とも呼ばれます。

お皿の下・膝の裏が痛む
お皿の下が痛む場合は、ジャンプやダッシュを繰り返すスポーツで起こりやすい膝蓋腱炎(しつがいけんえん)などが考えられます。膝の裏が張る、腫れる場合は、関節液がたまってできるベーカー嚢腫(のうしゅ)などのこともあります。
ただし、痛む場所はあくまで目安です。いくつかの原因が重なっていることもあるため、自己判断はせず、まずは整形外科で原因を確認してもらうことをおすすめします。
変形性膝関節症と半月板損傷とは
変形性膝関節症
膝の関節のクッションである軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が起こる病気です。
初めは、立ち上がりや歩き始めに痛みを感じ、動いているうちに楽になることが多いと言われています。進むと、階段の上り下りや正座がつらくなったり、膝に水がたまったりし、さらに進行すると、じっとしていても痛むようになることがあります。
加齢のほか、女性であること、体重の増加、O脚、過去のケガ、太ももの筋力の低下などが関わると考えられています。
半月板損傷
半月板は、太ももの骨とすねの骨の間にある、C字型をした軟骨の板です。膝の内側と外側に1つずつあり、クッションや膝を安定させる役割を担っています。
スポーツでのひねりなどのケガで傷つくほか、年齢とともに傷みやすくなり、ちょっとした動作で損傷することもあると言われています。膝の曲げ伸ばしでの痛みや引っかかり感、膝に水がたまるといった症状が出るほか、急に膝が動かなくなる「ロッキング」が起こることもあります。

鍼灸院での膝の痛みの施術例
施術で使うツボ
私が膝の痛みの施術でよく使うのが、次のツボです。これらのツボに、鍼やお灸で施術を行っています。
- 内膝眼(ないしつがん) — 膝を曲げたとき、お皿の下の内側にできるくぼみ
- 鶴頂(かくちょう) — お皿の上の縁の中央にあるくぼみ
- 膝根(しつこん) — お尻の、尾骨と股関節の間にあるとされるツボ

半月板損傷の方の経過
半月板損傷の方の例をお話します。
この方は、痛みが出てからしばらく時間がたってから来院されました。最初は1週間に1回の施術を3〜4回行い、その後は2〜3週間に1回に減らして、現在は3週間に1回のペースで通われています。
6回目ぐらいから膝の動きが良くなってきて、最初は90°くらいまでしか曲げられなかった膝が、しゃがむところまで曲げられるようになったり、歩くときの痛みが減ったりしてきました。
もちろん、これは一例です。膝の状態や損傷の程度によって経過は異なり、すべての方に同じ変化が出るとは限りません。
整形外科との連携
来院される方の中には、整形外科で診断を受けている方もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。痛みが続いている方には、一度整形外科に紹介状を送り、受診していただくようにしています。
膝の中の状態は、レントゲンやMRIなどの検査をしないとわからないためです。

東洋医学的な視点から
「膝は筋の府」
東洋医学には、「膝は筋の府(ひざはきんのふ)」という言葉があります。膝は、筋(すじ)と呼ばれる腱や靭帯が集まる場所だという意味です。
東洋医学では、筋は「肝(かん)」、骨は「腎(じん)」がつかさどると考えられています。年齢とともに膝の痛みが増えるのは、生命力の源とされる腎の働きが衰えてくることとも関係があると考えられています。
冷えや湿気で悪化する痛み
雨の日や寒い日に膝が痛むという方もいらっしゃいます。東洋医学では、こうした冷えや湿気で悪化する関節の痛みを「痺証(ひしょう)」と呼び、気(き)や血(けつ)の巡りが滞っている状態と考えます。
慢性的な膝の痛みがある方に、温めることを意識していただくようお伝えしているのは、この巡りを良くするためです。
膝から離れたツボを使う理由
先ほどご紹介した膝根は、膝ではなくお尻にあるツボです。膝の痛みには、膝そのものだけでなく、股関節やお尻まわりの筋肉の状態も関わっていると考えられています。そのため、膝から離れた場所のツボも組み合わせて施術を行います。

自宅でできるセルフケア
慢性の痛みは温める、腫れや熱があるときは冷やす
慢性的な膝の痛みには、膝まわりの循環を良くするために、温めることを意識してみてください。湯船にゆっくりつかる、膝掛けやサポーターで冷やさないようにするなど、日常の中でできることから始めましょう。
一方で、膝が腫れている、熱を持っているといった急な痛みのときは、炎症が起きている可能性があります。この場合は温めずに、冷やして安静にしてください。
太ももの筋肉を鍛える
太ももの前の筋肉(大腿四頭筋〈だいたいしとうきん〉)は、膝を支える大切な筋肉です。日本整形外科学会の診療ガイドラインでも、変形性膝関節症に対して運動療法がすすめられています。
- 椅子に座って膝を伸ばす — 椅子に深く座り、片方の膝をゆっくりまっすぐ伸ばして5秒ほど保ち、ゆっくり下ろします。左右10回ずつが目安です
- タオルつぶし — 床に座るか仰向けになり、膝の下に丸めたタオルを置いて、膝の裏でタオルを床に押しつけるように力を入れ、5秒ほど保ちます
どちらも、痛みが強くならない範囲で行ってください。運動中や運動後に痛みが強くなる場合は、中止してください。
膝に負担をかけない日常の工夫
- 階段では手すりを使う
- 正座や深くしゃがむ姿勢を長く続けない
- クッション性のある、足に合った靴を選ぶ
- 体重が増えると膝への負担も増えるため、体重を適正に保つ
足元の土台である足のアーチも、膝への負担と関わっています。足のアーチについては、こちらの記事で詳しくお話しています。
悪化した場合や心配な場合
次のような場合は、早めに整形外科を受診してください。
- 膝が腫れている、熱を持っている、赤くなっている
- 発熱がある
- 急に膝の曲げ伸ばしができなくなった、引っかかって動かない
- 膝がガクッと崩れる、体重をかけられない
- 転倒やスポーツ中のひねりなど、ケガのあとから痛む
- じっとしていても痛む、夜に痛みで目が覚める
- セルフケアを数週間続けても改善しない、だんだん悪化している
どこを受診すればいいか迷ったときは、こちらの記事も参考にしてください。

まとめ
膝の痛みは、内側が痛むのか、外側が痛むのかによって、考えられる原因が変わります。内側の痛みは変形性膝関節症や半月板損傷、外側の痛みは運動による腸脛靭帯炎などが代表的です。
慢性的な痛みは温めて膝まわりの循環を促し、太ももの筋肉を鍛えることが、膝を守ることにつながると考えられています。ただし、膝の状態には個人差があります。痛みが続く場合は我慢せず、整形外科や鍼灸院に相談してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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