こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
朝起きたら天井がぐるぐる回っていた。なんとなく体がフワフワして落ち着かない。キーンという耳鳴りが続いて気になる。そんなめまいや耳鳴りに悩んでいる方は少なくありません。
めまいは、「ぐるぐる回る」のか「フワフワ揺れる」のかによって、考えられる原因が変わってきます。今回は、めまいのタイプと原因、見逃してはいけない危険なサイン、そしてメニエール病の方への鍼灸の施術例と、自宅でできるケアについてお話します。
まず確認してほしい、危険なめまい
めまいの多くは耳の奥(内耳〈ないじ〉)の不調によるものですが、中には脳の病気が原因のものもあります。次のような症状を伴うめまいは、すぐに救急を受診し、必要であれば救急車を呼んでください。
- 激しい頭痛がある
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 手足のしびれや、力が入らない、顔がゆがむ
- 物が二重に見える
- 立てない、歩けない、まっすぐ座っていられない
- 意識がぼんやりする

めまいはタイプで原因が違う
ぐるぐる回る(回転性めまい)
自分や周りがぐるぐる回っているように感じるめまいです。耳の奥にある、体のバランスを感じ取る器官の不調で起こることが多いと言われています。
代表的なのが、良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう)です。耳の奥にある耳石(じせき)という小さな石がはがれて移動することで、寝返りや起き上がり、上を向くなど、頭を動かしたときに数秒から数十秒のめまいが起こります。耳鳴りや聞こえにくさは、ほとんど伴わないとされています。
もう一つが、耳鳴りや聞こえにくさを伴うメニエール病です。こちらは次の章で詳しくお話します。
フワフワ揺れる(浮動性めまい)
体がフワフワ、ふらふらするようなめまいです。疲れやストレスによる自律神経の乱れ、首や肩のこりなどが関わることがあると言われています。一方で、脳の病気や薬の影響で起こることもあるため、続く場合は医療機関で相談してください。

立ち上がるとクラっとする(立ちくらみ)
立ち上がった瞬間にクラっとしたり、目の前が暗くなったりするタイプです。立ちくらみについては、こちらの記事で詳しくお話しています。

メニエール病と耳鳴り
メニエール病とは
メニエール病は、耳の奥にある内耳のリンパ液が増えすぎる(内リンパ水腫〈ないりんぱすいしゅ〉)ことで起こると考えられている病気です。
ぐるぐる回る激しいめまいとともに、聞こえにくさ、耳鳴り、耳が詰まった感じ(耳閉感〈じへいかん〉)が起こり、これを繰り返すのが特徴です。ストレスや疲れ、睡眠不足が発作のきっかけになることがあると言われています。
耳鳴りが起こる理由
耳鳴りの多くは、聞こえの低下を伴っていると言われています。加齢や大きな音によるダメージ、メニエール病などの耳の病気が原因になるほか、ストレスや疲れ、睡眠不足で気になりやすくなることもあります。
鍼灸院での施術例 — メニエール病の30代女性
来院までの経緯
めまいと耳鳴りで来院された、30代の女性の例をお話します。
この方は、病院でメニエール病と診断され、薬を処方されていました。しかし、その後もあまり症状が和らがず、当院を受診されました。
鍼が苦手な方への段階的な施術
この方は、もともと鍼が苦手でした。そこで、1回目は鍼を使わず、肩や頭まわりの手技をメインに施術を行いました。
2〜4回目は、ローラー鍼で耳の周りを施術し、単刺(たんし)で耳の周りを刺激しました。ローラー鍼は、皮膚の上を転がして刺激する、刺さないタイプの鍼です。単刺は、鍼を刺してすぐに抜く方法で、刺激が少ないのが特徴です。
鍼が苦手な方でも、このように段階を踏んで、体を慣らしながら施術を進めることができます。
使ったツボ
主に使ったのは、次の3つのツボです。
- 耳門(じもん) — 耳の穴の前にある小さな出っ張りの、少し上のくぼみ。口を開けるとくぼみが深くなります
- 養老(ようろう) — 手の甲側、手首の小指側にある骨の出っ張りの、親指側のきわのくぼみ
- 合谷(ごうこく) — 手の甲側、親指と人差し指の骨が交わるくぼみから、少し人差し指側に寄ったところ
耳門の位置↓

養老の位置↓

合谷については、こちらの記事でも詳しくお話しています。

経過
通院のペースは、最初は1週間に2回、その後は1〜2週間に1回としました。5回目には、耳鳴りとめまいがほとんど気にならない程度になり、その後も再発はしていません。
来院中も病院の薬は服用されていましたが、5回目の頃には薬を飲んでいない状態でした。薬の量を減らしたりやめたりする場合は、自己判断をせず、必ず主治医と相談してください。
もちろん、これは一例です。メニエール病は再発を繰り返すことがある病気のため、症状が落ち着いてからも、耳鼻咽喉科で経過を見てもらうことが大切です。
東洋医学的な視点から
「腎は耳に開竅する」
東洋医学には、「腎は耳に開竅(かいきょう)する」という言葉があります。耳は、生命力の源とされる「腎(じん)」とつながっていると考えられており、年齢や疲れで腎が弱ると、耳鳴りや聞こえにくさが起こりやすくなるとされています。
ストレスタイプと、水がたまるタイプ
めまいや耳鳴りには、他にも次のようなタイプがあると考えられています。
- ストレスタイプ(肝〈かん〉) — ストレスやイライラで、気(き)が頭に上りやすい状態。急に大きな耳鳴りがする、顔がほてる、頭痛を伴うといった特徴があると言われています
- 水がたまるタイプ(水滞〈すいたい〉) — 体に余分な水分がたまっている状態。頭が重い、雨の日に悪化しやすい、めまいに吐き気を伴うといった特徴があると言われています。内耳にリンパ液がたまるメニエール病と、イメージが重なるところもあります
耳につながる経絡
耳のまわりには、手少陽三焦経(てしょうようさんしょうけい)や、手太陽小腸経(てたいようしょうちょうけい)などの経絡(けいらく)が通っています。
施術で使った耳門は三焦経、養老は小腸経のツボで、どちらも耳につながる経絡の上にあります。耳の近くのツボと、手首など耳から離れたツボを組み合わせて、耳まわりの巡りを整えていきます。
自宅でできるセルフケア
めまいが起きたときは、まず安全な姿勢で
めまいが起きたら、無理に動かず、その場で座るか横になって、楽な姿勢で目を閉じてください。転倒しないよう、周りの安全を確保することが大切です。

耳を上下左右に引っ張る
施術例の方にお伝えしたセルフケアが、耳を上下左右に引っ張るケアです。お風呂上がりか寝る前に、1日1回行ってもらいました。
耳を指でつまみ、上、下、横へと、痛くない強さでゆっくり数秒ずつ引っ張ります(時間や回数は目安です)。耳のまわりの緊張をゆるめ、巡りを促すことが期待できます。痛みがある場合や、耳に傷や炎症がある場合は行わないでください。

首・肩のこりをほぐし、睡眠とストレスに気をつける
首や肩のこりは、めまい感や耳鳴りを強めることがあると言われています。湯船につかって体を温める、肩を回すなどして、こりをためないようにしましょう。
また、睡眠不足やストレス、疲れは、めまいや耳鳴りのきっかけになりやすいと考えられています。十分な睡眠を心がけてください。メニエール病と診断されている方は、医師から指示された生活上の注意を優先してください。
耳鳴りが気になるときの工夫
- 大音量でイヤホンやヘッドホンを使わない
- 静かすぎる部屋で耳鳴りが気になるときは、小さな音で音楽や自然の音を流してみる
何科を受診すればいい?
- すぐに救急へ — 冒頭でお伝えした危険なサイン(激しい頭痛、ろれつが回らない、手足のしびれなど)を伴うめまい
- できるだけ早く耳鼻咽喉科へ — 急に片方の耳が聞こえにくくなった(突発性難聴は、早く治療を始めるほど回復が期待できると言われています)、めまいとともに聞こえにくさや耳鳴り、耳の詰まった感じがある、めまいを繰り返す
- 耳鼻咽喉科で相談を — 耳鳴りが続いて眠れない、片方の耳だけ耳鳴りが続く、脈に合わせてドクドクと聞こえる耳鳴りがある
鍼灸は、病院での検査や治療と並行して受けることもできます。まずは医療機関で原因を確認したうえで、体を整える選択肢のひとつとして考えていただければと思います。

まとめ
めまいは、ぐるぐる回る回転性か、フワフワ揺れる浮動性か、立ちくらみかによって、考えられる原因が変わります。まずは危険なサインがないかを確認し、耳鼻咽喉科などで原因を調べてもらうことが大切です。
今回ご紹介したメニエール病の方のように、病院での治療と並行して鍼灸を取り入れる方もいらっしゃいます。ただし、症状や経過には個人差があります。気になる症状が続く場合は、我慢せず専門家に相談してください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
X(旧Twitter)もやっているのでフォローよろしくお願いします。
X(旧Twitter)アカウント→@shinbitokenn


コメント