こんにちは、鍼灸師のRyosukeです。
「最近なんとなく調子が悪い」「病院で検査をしても異常なしと言われるのに体がだるい」
私が働いている整骨院にいらっしゃる患者さんから、こうした声をく耳にします。肩こり、腰痛、不眠、冷え、胃腸の不調、めまい、動悸など症状は様々ですが、その根っこは自律神経の乱れが関わっていることが少なくありません。
鍼灸師として日々患者さんの体と向き合う中で感じるのは、自律神経は西洋医学と東洋医学、どちらの視点から見ても体の根幹を支えているということです。今回はこの2つの医学の考え方や自律神経の大切さについて書いていきます。
西洋医学から見る自律神経
自律神経は、私たちの意思とは関係なく、内臓の働きや体温、血圧、消化、呼吸などをコントロールしている神経です。大きく分けて2つの働きがあります。
①交感神経:活動時や緊張時に優位になる。心拍数を上げ、血管を収縮させ、体を「戦うか逃げるか」の状態に整える。
②副交感神経:休息時や緊張時に優位になる。心拍数を落ち着かせ、消化活動を促し、体を回復モードに導く。
この二つがシーソーのようにバランスをとり合うことで、私たちの体は環境の変化に対応し、恒常性の維持(ホメオスタシス)をしています。
しかし現代社会では、慢性的なストレス、スマートフォンの使いすぎ、睡眠不足、不規則な生活によって交感神経が優位な状態が続きやすくなっています。その結果、副交感神経への切り返しがうまくいかず、自律神経のバランスが崩れてしまうのです。これがいわゆる「自律神経失調症」と呼ばれる状態で、肩こりや頭痛、不眠、胃腸障害、めまいなど、実に多様な不調として現れます。
東洋医学から見る自律神経
東洋医学では、体は「気(生命エネルギー)」「血(栄養や潤いを運ぶもの)」「水(体液)」の巡りによって成り立っていると考えます。これからがスムーズに巡っていれば心身は健やかですが、巡りが滞る(気滞・瘀血など)と、自律神経が乱れた時と似たような不調が現れます。
・肝の疏泄(そせつ)作用
特に重要なのが「肝」の働きです。東洋医学でいう肝は、単なる臓器としての肝臓ではなく、気の巡りを調整する「疏泄(そせつ)」という機能を担うと考えられていています。ストレスや怒り、緊張が続くと、この疏泄作用がうまく働かなくなり「肝気鬱血(かんきうっけつ)」という状態に陥ります。これは西洋医学でいう交感神経の過緊張状態と、驚くほど重なる部分があります。
・陰陽のバランス
さらに東洋医学の根本思想である「陰陽」の考え方も、自律神経の仕組みと通じるものがあります。活動・興奮・発散を司る「陽」と休息・鎮静・滋養を司る「陰」。この陰陽が調和していることが健康の基本であり、交感神経(陽的な働き)と副交感神経(陰的な働き)のバランスを重ねて理解することができます。

2つの医学が示す共通点
西洋医学と東洋医学は、言葉も理論の組み立て方も全く異なります。しかし、体には自らバランスを取り戻そうとする仕組みが備わっており、それが乱れると不調が起きるという点では驚くほど共通しています。
西洋医学が神経伝達物質やホルモン、自律神経という物質的・機能的な仕組みで体を説明するのに対し、東洋医学は気・血・水・陰陽・五臓の働きという全体的、関係的な視点で体を捉えます。どちらが正しいということではなく、二つの視点を持つことで、体をより立体的に理解できるのだと感じています。
鍼灸が自律神経に働きかける仕組み
鍼灸施術がなぜ自律神経の乱れに効果的とされるのか、近年は西洋医学的な研究も進んでいます。
特定のツボ(経穴)への刺激は、皮膚や筋肉にある感覚受容器を通じて脊髄や脳に伝わり、自律神経の中枢である視床下部や、ストレス反応に関わる視床下部、下垂体、副腎系に働きかけることがわかっています。また、迷走神経を介して副交感神経を優位にする作用も報告されており、鍼灸によるリラックス効果や血流促進、痛みの緩和にはこうした神経系の仕組みが関わっていると考えられています。
東洋医学的に見れば、滞った気血の巡りを促し、乱れた陰陽のバランスを整えることに他なりません。ツボへの刺激によって気の流れをスムーズにするという古くからの治療原理と、自律神経のバランスを整えるという現代的な説明は、異なる言葉で同じ現象の語っていると思います。
日常でできるセルフケア
自律神経を整えるために、日常生活の中でできることをいくつか紹介します。
①呼吸を整える:深くゆっくりとした腹式呼吸は、副交感神経を優位にする代表的な方法です。実際に私も気が張っている時やバタバタしている時は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせています。東洋医学でも気を整える基本は呼吸にあるとされています。
※これから紹介するツボはあくまで臨床上よく使うツボなので絶対に治るとは限りません。本記事では、私がこれまでの臨床経験や専門学校で培った知識をベースに、現代のセルフケアでも広く活用されている代表的なツボを紹介します。
②ツボを活用する:内関(ないかん)は自律神経を整えるサポートをしてくれる代表的なツボとして知られています。日常的なセルフケアとして押してみるのもおすすめです。
内関(ないかん)の位置は手のひらを上にして手首のシワの真ん中を探します。そこからヒジに向かって指3本分上に上がったところで、2本の太いスジ(腱)の間を押します。

まとめ
自律神経の乱れは目に見えにくく、検査数値にも表れにくいことが多いため、「気のせい」「様子を見ましょう」で済まされてしまいがちです。しかし、体からのサインを丁寧に読み取っていくと、そこには必ず理由があります。
鍼灸師として日々感じるのは、体は西洋医学的にも西洋医学的にも、常にバランスを取り戻そうとしているということです。そのバランスを整える手助けをするのが鍼灸という一つの役割だと考えています。
もし病院では異常なしと負われるけど、なんとなく不調が続いている方は、それは自律神経からのサインかもしれません。ぜひ一度、ご自身の体と向き合う時間を持ってみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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